第2話 一次試験

《 受験番号、255番『 大空 天空 』選手。 137番 剛田 小路丸 選手。 No7の闘技場にお越しください――》


 控え室にアナウンスが流れた。


「よし、オレの番だな……!」


 地下空間にある控え室の扉を開けて、指定された闘技場に上がる。

 すでに待ち構えていた対戦相手がいやらしく笑う。


「ひひひっ。弱そうな奴じゃ〜ん。ラッキ〜♪」


 準備運動をしながら大空 天空は笑顔をきらめかせ。


「んじゃ。初戦を勝たせてもらいますか♪」


 お互いに闘志をぶつけ合った。


《 それではカードバトルを開始します 》


 機械的なアナウンスとともに、大空 天空と対戦者 剛田 小路丸の眼前に、1メートル程の初期手札となる、ホログラム映像で創られたカードが5枚ずつ出現した。

 

《 先行は、大空 天空 選手 》


「よっしゃあっ! オレのターンだ、ドロー!」


 天空が勢いよくカードを引くモーションを取ると、目の前にホロカードが出現し、手札が6枚となった。


「オレは、リボーンスライムを召喚!」


 目の前に浮かぶ、ホロ手札に触れると、光の粒子となり放たれる。

 放たれた光の中から、真紅のスライムが姿を現した。


【 リボーンスライム レベル1 属性 水 種族 スライム族 】


「オレのターン終了だ」


 戦いを楽しむように天空は笑っていた。


「ケケケっ。俺のターンだぜェ、ドロー!」


 小路丸は腕を振るモーションでホロ手札を引いた。


「ヒャッハ――ッ! いい手札がきたぜェ! 呪文、《ファイアーボール》!」


 目の前に浮かぶホロ手札に触れると、『大火球』に変わり対戦相手の天空に放たれる。


「ヒャッハッハァッ! 俺の勝ちだァァ――― ぐ ぎ ゃ あ あ あ あ あ あ っ !」


 いま自分が放った『大火球』が顔面に直撃する。


「あっ? えっ? はァ?」


 困惑する小路丸のライフが【0】となり――。


《 勝者『大空 天空』選手 》


「――なッ、なんだとォォォ―――ッ! なぜだァァッ、なんでこの俺様がァァァ……!」


 納得がいかず頭をかきむしるに小路丸に、天空は理由を述べる。


「カウンター呪文、《マジックリフレクト》だ。 このライフ【1】によるカードバトルの【必勝法】は、相手に先にダメージを与えることじゃない。 先に呪文を当てようとする者の『呪文を跳ね返す』ことだ――!」


 大空 天空と剛田 小路丸の対戦をモニターで観戦していた伊集院 麗子はにやりと。


( そのとおりだ。 私から試験の内容を聞いて皆が思っただろう。 ライフ【1】しかないのなら、先に呪文でダメージを与えたほうが勝つと。そしてそのためのデッキを構築したはず。その思考を先読みし、呪文カウンターを準備することこそが、この試験の必勝法…… )


 ――その後、大空 天空は順調に2連勝して、次の試験に駒を進めた――。

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