戦少女と描く英雄譚 〜英雄?俺が?解釈違いですね〜
@Yynm_0870
プロローグ
現在4月7日、時刻は午後11時42分。中学校の入学式を明日に控えている俺は、暗い部屋の中で机に置いてあるランプを点け、ある雑誌を読んでいた。
その雑誌の名は「週刊
そして今手元にあるのが今週号のもの。朝イチにこれを買い、今日だけで何回読み、何回彼女たちに悶絶したか分からない程読み漁ってしまった。
時計の秒針の音が小さく響く部屋で、俺は雑誌のページをめくる。
『小学生時代からの神童、入学。新入生代表スピーチで芽生えた勇姿!』
『戦少女の黄金コンビ、またも事件解決か。その一部始終を徹底調査!』
『伝説、またも記録塗り替え。彼女の前に、壁は無し!』
いくらめくっても、雑誌いっぱいに記載された彼女たちの活躍が俺の中にある眠気を吹き飛ばしてしまう。
写真を見るだけで心が躍り、文を読めば鼓動が早く。今が夜であることを忘れてしまうほどの興奮が押し寄せてくる。
(…すごいなぁ。やっぱり彼女たちは一市民の俺なんかとは違う、選ばれた人なんだな。)
俺はそんなことをしみじみ思いながら雑誌を読み進めていく。彼女たちの活躍している写真と文面を見るだけで自然と口角が上がってしまう。
(…これは入学式の写真で、こっちは戦闘時の写真……どこを切り取っても絵になるな…)
そして読み進めていくこと数分。ついに今週号の個人的目玉ページ前に辿り着いた。
この先に、ミサイルですら可愛いと思えるほどの
(来るぞ……いざ…!!)
意を決してページを開け、写真と昼ぶりの再会を果たす。そこには…
今年入学してきた新入生代表、
「ン゛ゥ゛…!!」
我慢ができなかった。俺は潰れた声を上げ、椅子と共に真後ろに音を立てて倒れてしまった。今は夜だ、隣室の奴らを起こしてしまうだろうが後悔はしていない。
「尊いぃぃぃ………。なにその笑顔…眩しいぃ……眩しすぎるよぉぉ………直視できない…」
これだ。この言葉に尽きる。何を隠そう俺の推しは彼女たち、もとい戦少女という存在である。
国を守るために戦い、互いに衝突し、その果てに市民が入ってはいけない
物心つく前にそれを見てしまった俺は、無事彼女たちに脳を焼かれ現在に至るのだ。とそのとき、何者かによってドアが叩かれる。
「
どうやら職員さんが注意しにきたらしい。だって仕方ないじゃん、尊さの塊を間近で見たんだもん。
心の中でぶつくさ文句を垂れながら、俺はランプを消しベッドで横になる。
(いやぁ、今週号も最高だったな。明日送迎のときおっちゃんに自慢してやろう。中学でも俺と一緒の趣味のやつを見つけてやる!必ずだ!!)
そう意気込んで、俺の意識は夢へと消えていくのだった…
このとき、俺は知らなかった。
明日の入学式を境に、俺の人生が非日常へと進んでいくだなんて。
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