第9話 透かした新聞&森

新聞の裏面を透かして読んでいるような感覚。

なかなか見えないのよ。

でも、表面に写真が写ってたり、たまに読みやすい所もあったりする。

クスリを飲むと裏からライトを当ててくれるような。そうすると今までよりずっと見やすくなる。

そうすると今までよりずっと見えやすくなる。

それで他の奴らに

「おまえ、よみづらくねーの??」

と聞いてみる。

「んーちょってなー」

と返ってくる返事。相手は表面から読んでるけど、それは字が小さい事に対しての

「ちょっとなー」

であって俺が裏面から読んでいるなんて思ってない。逆に俺は相手が表面から読んでるとも思ってない。

相手が裏面から読む意味はないし。

でもそれを俺は知らない。

気付いてない。

気付こうとしてない。

気付く気配すらない。


俺かいつか自分で会社やって稼ごうと思ってるのって、まだちっちゃい子が、

「大人になったら宇宙飛行士さんなりたい。」

と言ってるのと同じなのかな!?ずっとそれが引っ掛かってて、ずっと靄がかかって、クッキリ見えなかったけど、それが今、見えつつある。

緑色の森の中にも茶色の木。

赤い……実。

黄色い実。

むらさきの花。

とか色んな植物があって、下を見れば、

「茶色い土があるのか!」

「虫もいるのか」

とかそんな気づきが起こり始めてる。知って気づくことがあることに気づいた。

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