第2話 ジャスミン
「よし、こんなところかな?」
僕はその場に残された遺留品を全て回収した。遺留品の花と燃えた花壇は園芸部の所有物だ。
当然園芸部は黙って居られないだろう。
それに回収できたのはマッチ棒の燃えカスのみ。花も回収しようと思っていたが灰になって風に吹かれて少ししかなかった。
そのため回収は不可能に近かった。
「ここの花壇は園芸部の所有物だし、植えられた花でも聞いてみるかな、」
そう考え僕は園芸部の部室に向かおうとしていたとき、僕の背後から小さな声がした。
「無視しないでよね……」
「うぁっ!」
思わず情けない声が出てしまった。後ろを振り返るとそこにいたのは、バケツを持った黒種草さんの姿だった。僕は彼女に質問をする。
蓮「あれ?なんでこんなとこにいるの?」
百合「お花のためにお水を汲みに来たの。え?」
彼女はその放火現場を見て驚いた。
そういえば彼女は園芸部だった。
水やりをするならここを通るのは必然的だ。
「私が頑張って育ててきたタンポポさん。こんなことになっちゃって、」
でも僕には何かが引っ掛かる。なぜ今さら水やりをしに来たのかだ。
放火の新聞が出たのは今日の昼。そして今の時間は4時。終礼が終わって三十分も経っている上に園芸部は基本的に放課後すぐに水やりをすふはずだ。なのになぜ今日だげ時間が過ぎている。
僕はその事を疑問に考えながらさらに周囲を観察する。
「あれ?」
僕はあるものを見つけた。
それはなんの変哲のない白色の軽トラ。
でもそこに積まれていたものは元気よく咲いているタンポポの姿と新品のシャベル。
「あっ…こんなところになんで私のタンポポがあるの?誰が移動させたのかな?」
どうやらこのタンポポは彼女の物だったらしい。
「なるほどな、これは一本取られたみたいだね」
タンポポがここにあるということはそのシャベルで掘って移動させたと考えたいがこのシャベルは新品でまだ土一つも着いていない。
そこでさらに一つ疑問が残る。それが花壇にあった花の灰の残骸。でもそれは解決しようがない。
結局証拠となるものは灰となったマッチ棒一本のみだった。
蓮「仕方ない。この事件また後で調査するしかないね。」
百合「そうですね。」
僕と彼女はひとまずこの放火現場から去った。
次の日
僕はなぜか警察に呼び出されていた。
そして行われたのは取り調べ。
警察「なぜあの場所に居たんだい?君部活してないよね?」
僕は愛知県のただの高校二年生。部活に所属していない僕は本当ならあまり放火現現場に立ち寄る時間は無いはずだ。正直に事件解決のための推理をしていましたイェーイとは言えない。そういえば僕の推理劇場がすぐに閉幕してしまうからだ。といっても反論できる余地がない。何か嘘をつかないと……
「実はその前のとき自習室で自習していまして、うっかり消しゴムを窓から落としてしまい取りにいきました。」
よし。どうにか乗り切れそうだ。自習室は窓と机の高さが同じ上に窓が机と面している。しかも常に部屋が空いているし、さらに場所は花壇の真上の三階。それに昨日は自習室に人は居ない。これは勝った。
僕はそのまま嘘をつき続けどうにかこの取り調べを乗り切った。
取り調べも終え、無事に警察署の入り口に戻ることがてきた時だった。
ピコン♪ピコン♪
警察署から出るとタイミング良く電話がかかってきたのだ。
「おう。蓮、取り調べとは災難だったな。」
相手は紺だ。
蓮「どうしたんだ?もしやまた格ゲーやろうとは言わないよな……」
紺「お前格ゲー弱いからな。前だってレベル1のNPCに完封負けされてたからな。」
蓮「まったく。今回は何のよう?」
紺「どうせなら夜焼き肉食べにいくけど行かないか?と俺の女友達から誘われてな、俺の方から一人誘ってこいと言われたもんでな。もしかしたら蓮ならいけると思ったがやっぱり無理か?」
今日な休日だ。取り調べは10時から11時で終わったためそこまで時間はかかっていない。よって予定はまだ未定だ。まぁいけないことはない。お金も十分にある。ならどうせなら行くか。
蓮「わかったよ。何時からになりそう?」
紺「ああ。7時かららしい。また時間が代わったら連絡する。」
蓮「わかったよ。ありがとう。」
僕はそういって電話を切った。
「てかあいつに女友達いたんだな。ってうぁ!」
後ろを振り向いた途端なぜか黒種草さんがちょこんとそこに立っていた。
百合「焼き肉食べに行くんでしょ。」
蓮「え?あ、うん。」
百合「私も焼き肉食べたいなー。ダメ?」
蓮「ダメではないけど、、、」
百合「実は今日お母さん帰ってこないから夜ご飯無いの。どうせなら一緒に食べたい。」
なんだこの生物は。可愛すぎる。猫におねだりされてるみたいだ。うーん。仕方ない。
蓮「わかった。でも紺に聞いてからね。」
百合「やった。それじゃあ後で時間連絡してね。」
そういって彼女は自転車で走っていった。
「とりあえず昼飯食いにいくか。」
そして僕は取り調べで疲れた体でゆっくりと昼飯を食べにいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます