青の百合水仙(アルストロメリア)
柚ポン浜地
花ってものは謎を生み出すの
第1話 ブラッシア・ベルコーサ
ある日僕はある人に校舎裏に呼び出された。
「私はあなたのことが好きです。付き合ってください。」
僕、白菊蓮(しろぎくれん)は見た目は小さな女の子に見える同級生、黒種草百合(くろにげゆり)に告白されのだ。
でも僕には今おこなっている趣味というものがある。
それは未解決事件を解くということだ。
僕は未解決事件が大好きだ。この手で何度も事件を解決してきた。でも僕はそれだけが趣味だ。
しかもそれに僕ならではの厳しいモットーっていうものがある。
それは絶対に警察にその推理を話すことなんてしてはいけないことだ。
僕はあくまでも謎を解くことが好きなだけ、警察に謎を暴かれると僕の解く謎が無くなってしまうからた。
それに僕からすれば彼女が周りにいると謎を解きずらくなる上、もし危険な事へと足を踏み込ませると大変なことになってしまう。
僕は思考を巡らせた。そして僕の返した返答はこうだ。
「今事件を追っているから付き合えません。ごめんなさい。」
僕はそういって頭を下げた。
謎は僕にとっては必要な物。捨てることなど断じて出来ない。僕はどうにか彼女に諦めて貰おうとさらに頭を下げる。
すると彼女はある一点に視線を一瞬だが向けた。
それをみた僕が頭を上げる。すると彼女からは以外な言葉が返ってきたのだ。
「そういうことならわかった。でもただでは終わらせないのが私なの。」
何を言っているのかが分からない。ただでは終わらないとは何だ。僕は頭をフル稼働させる。
すると彼女からさらに言葉が帰ってきた。
「じゃあ私があなたのために事件を作ってあげる。それならいいでしょ?楽しみにしといてね」
そういって彼女はニコッとした笑顔を僕に向けて、その場からゆっくりと去っていった。
その後ろ姿はなぜか楽しそうに見える。
「事件を起こす?」僕はこの言葉が頭に残りながらも、彼女とは反対方向に歩みを進めていった。
次の日、
四時間目も終わり、昼休憩に入った。僕は友達である綾波紺(あやなみこん)と学食に入った。
僕はいつものカレーと唐揚げ、紺はいつもとは違うカツ丼を片手に机に座った。
「なぁ、蓮。今回の事件、まだ解いているのか?」
これがいつもの流れ。いつもこういう感じに聞かれるんだ。僕は事件の内容を事細かに話す。
綾波「今回の事件。犯人の分からない強盗事件だろ。警察が押収した証拠はない上に監視カメラにも写っていない。しかも目撃証言は取られた本人のみ。これをどうやって絞りこむんだ?蓮。」
蓮「今回の事件は八百屋、佐野に店長の佐野光春さんがナイフで脅され、現金20万円を奪った事件だ。でも一つ疑問があるんだ。」
綾波「ほう。それはなんだ?」
僕は机にあるものを出した。それは現場に落ちていたハンカチだ。
綾波「お前、どこからそれを取った?証拠品がないのだろ?」
蓮「このハンカチには佐野さんの指紋がついていた。警察はそれに気づいたが犯人の指紋は着いていなかった。そのためこのハンカチは本人に返された。そして僕は昨日、佐野さんにさりげなく汗を拭くものを要求して、ハンカチをもらいそのまま拝借してきたんだ。」
綾波「そのハンカチに何の意味があるんだ?説明してくれ」
蓮「このハンカチが落ちていた場所、それが犯人の立っていた場所だった。ついでに僕は八百屋に行ったとき近くの監視カメラを見たんだ。その監視カメラは動いていない。しかも監視カメラには佐野八百屋と書いていた。つまり佐野さんの所有物だ。所有物だということはこのカメラは自身で電源を切ることができる。そして佐野さんの証言では周りには人が居なかったと言っていた。」
綾波「なるほどつまりそれは」
蓮「これは佐野さん自身が犯行に及び、有名になろうとしたんだろうね。実際、そのおかげか人が訪れた回数が二倍になっている。これはただの見せかけの強盗事件ってとこかな、」
蓮はその未解決事件に結論を叩き出した。
でももちろん警察にはこのことは言わない。謎は謎のままが一番いい。内容を知っているのは自分だけでいいんだ。
僕はそう考えす自分の推理に対して優越に浸っていた。その時だ。
キーンコーンカーンコーン♪
話が長すぎたみたい。
どうやら予鈴のチャイムがなってしまったみたいだ。
僕と紺はすぐさま目の前のご飯を一気に掻き込み、食堂を後にした。
そこから数日後。
校内新聞を読んでいた時だ。
学校にとんでもない事件が舞い込んできた。
それは学校にある花壇に放火事件が起こったことだ。
目撃者はなし。証拠品は灰になるまで燃えたマッチ棒らしきもの一つのみ。
「ここがその放火現場か…」
僕はその現場に足を踏み入れた。
そこには燃えた花たちと灰になったマッチ棒。
僕はそれを見て不適な笑みを見せた。
「この謎は洗練された花の謎だ。これはとっても楽しそうだ。」
そうして僕は現場に残された遺留品を回収し始めたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます