黄金が再び輝く時 ~あの日僕は、"勝者なき戦争"を阻止すると誓った~
清月 郁
第零幕 プロローグ
最後とはじまり
あの日、最愛の人の首が僕の目の前で落ちた。
絶望の中静かに泣く彼女の死に顔を、僕は一度たりとも忘れたことが無い。
僕は、彼女が作った最初の
初めて目にした彼女は、黄金のバラのように美しかった。
彼女は慈悲のまま、二度目の生と共に生きる意味と鋼の如く強い精神を僕にくれた。
だからこそ僕は前へと突き進み、喜んで戦争に身を投じた。
幾多も砕けようとも、瞬く間に再生するこの肉体で勝利を目指す。
不死の戦士は僕以外にも作られ、皆で戦場を駆け回った。
しかし、そんな彼女は味方に無実の罪を着せられ、最後は絶望の中で命を散らした。
あの時ただのアンデットの一人だった僕は、成す術もなくただその光景を脳裏に焼き付けることしかできなかった。
でも、戦いは止まらない。
彼女が死んでから長い月日が経った今、この世界の生身の人間は既に息絶えた。
残ったのは、跡形もなく砕け散った建物の残骸と、炎に包まれる荒れ地だけ。
仲間達も心が摩耗し、既に殺戮人形となっている。
例え首が落ちても、体が粉々に吹き飛んでも、ただ黙々と戦いに身を委ねる。
僕も空っぽになるのは、時間の問題だ。
どれだけ敵を屠っても、この心の空洞を埋めることはできなかった。
ただ苦痛に虚しくなるだけ。
そうなれば、彼女から与えられたこの命の価値はなくなる。
それだけは、避けなければならない。
世界でたった一人、愛した人の痕跡がなくなることが、僕自身が許せない。
だが、方法はある。
僕の手にある、時を巻き戻す奇跡の術を使えば。
それでも、神でも運命が変わる保証はできないだろう。
だとしても僕は、この奇跡に縋りつこう。
幾千万の自分の死を代償に、この無利益な戦いをなかったことにしよう。
そうすれば、彼女の黄金の輝きを取り戻すことができる。
この先どんな苦痛が待ち受けようとも、僕はくじけることはない。
例えこの心が壊れようとも、もう二度と君を死なせはしない。
今度こそ、あの美しい黄金の輝きを守り抜いてみせる。
そして、この”勝者なき戦争”を阻止してみせよう。
「……すべては、ミュリエルのために」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます