フロンティアへの道

第12話

チカホーミニー川を渡ってから、三日が経った。

クロトとススリサーは、荒野を西へ進んでいた。

だが、状況は厳しい。


「……水が、ない」


ススリサーが、空になった水筒を振る。


「川で汲んだ分は、昨日で尽きた」

「食料は?」

「プランテーションから持ち出したパンの欠片が、これだけ」


クロトが懐から取り出したのは、拳大の固いパン。二人で分けても、一食分にもならない。


「……このままじゃ、三日も持たない」

「ああ。何か手に入れる必要がある」


二人は足を止めず、ひたすら歩き続けた。

太陽が容赦なく照りつける。喉が渇く。唇が乾燥して裂ける。

やがて——


「……クロト、あれを見ろ」


ススリサーが、遠くを指差した。

地平線の彼方に、小さな影。


「何だ?」

「馬車だ。しかも、護衛が少ない」


クロトは目を細めて確認する。

確かに、馬車が一台。御者が一人、護衛が一人。


「……商人か?」

「おそらく。チャンスだぞ、クロト」


ススリサーの目が、狩人のように光る。


「襲うのか?」

「当然だ。水も食料も金も、全部奪う」


クロトは、短剣の柄を握った。


「……分かった。やるぞ」

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