第13話

__________......



店に出勤したく無いと言い

数日勤務しない女がいると連絡を受けた。

様子を観に行くと泣いていた。


「もうやだ、辞めたい。」


ホストに熱入れた挙句、その資金繰りの為金を借りてこの世界に身を落とした人。


とりあえず、しばらく大人しく話を聞いていると

急に甘えるように腕に触れてきた。


首を傾げると

「オーチくん、抱いて」とお願いする。


「じゃあ、俺のお願いも聞いてくれる?

今すぐ全額耳揃えて金返すか

ちゃんと店、出勤してくれる?」


逃げたら今より酷い目に遭う事になるよ

と、笑顔でそう言うと

怯えた目で「出勤する。」と返ってきた。


だから望み通りにした。


ベッドに四つん這いにし

後ろから肩を掴み、腰を打ちつけ

揺れるミルクティー色の髪を見て

思い出した。


あの子は、一度も染めた事が無いであろう

長い黒髪だった。

西日を浴び、オレンジの光を通したそれは

透ける様な淡い茶色にも見えて

綺麗だった。


震えて、驚いた顔で涙を溢した姿と

初めて話した日の、朗らかな笑顔が浮かんだ。


彼女が笑うところをもっと見てみたい。

涙を流した姿は心が痛んだ。

彼女は触れたらどんな表情になるんだろう。


身体的な快楽が迫り上がって

そのまま上り詰めた。


女の子は皆んなかわいい。

あったかくて、気持ちいい。


でも今、

はっきりと満たされない、空しさを感じてしまい

この行為に、明確な嫌悪感が芽生えた。



明日からまた出勤する事を約束させ

店のオーナーに連絡させて

部屋を出た。



徐にスマホを開くと

グループにメッセージが1通来てた。


大和から

日曜日18時に壱華ちゃんのところまで

茉莉花を迎えに行く為、夜廻はパスする旨が来ていた。


大和に電話をかけた。


『…どうした?』

「18時にどこいくの?」

『は?』

「俺も行く」

『はぁ?』

「イチカちゃんに会いたいから」

『はぁ?そのために行くのか?』

「あぁ。」

『〇〇駅。でも、本人来るかは知らないからな。』

「分かった。」


通話を終了し、メットを被ってハンドルを切る。

繁華街まで戻りながら

彼女がどんな反応をするか少し楽しみになった。

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