三大AIによる三題噺対決!

須藤 彩香

(1) 第1回「空っぽの財布」「海辺の夕陽」「パンクした自転車」

 急遽、三大AIの三題噺対決をすることにした。あくまで「三大AI」の「三題噺」というダジャレであり、使用するAIが3つである必然性はない。また、セレクトした3つのAIもたまたま使ったことがあるものを選んだだけで、もっと適切な選択があるかもしれない。

 しかし、それでもこのような試みは、各AIの設計思想を可視化することになるのではないかと期待している。使用するAIは、ChatGPT、Gemini、Copilotである。

 第1回のお題は「空っぽの財布」「海辺の夕陽」「パンクした自転車」これは須藤彩香が設定した。

 それでは、各AIの作品を堪能してほしい。


 1.ChatGPTの三題噺:「空っぽの財布」「海辺の夕陽」「パンクした自転車」


 昼下がりの海辺、朱に染まる夕陽が砂浜をオレンジ色に包んでいた。

 僕は自転車を押しながら歩く。昨日までの活力を吸い取られたような、空っぽの財布がポケットでカタカタ音を立てる。


 今日は、あの小さなパン屋でクロワッサンを買おうと思っていたのだ。

 しかし財布は空っぽ。

 しかたなく自転車にまたがろうとすると、前輪が嫌な感触を返す。パンクしていたのだ。


 仕方なく、砂に沈む夕陽を眺めながら自転車を押す。

 不意に、遠くで波が砕ける音が心に沁みる。

 空っぽの財布も、パンクした自転車も、夕陽の美しさの前ではどうでもいい気がしてくる。


 ふと笑った。

 人生とは、まるでこの海のように、予期せぬ波が押し寄せてくるものだ。

 そして、その波の一瞬の輝きを見逃さずに感じることこそ、僕が持ち得る“豊かさ”なのかもしれない、と。


 自転車を押す手に力を込め、僕は波打ち際へと歩みを進めた。

 空っぽの財布とパンクした自転車があっても、夕陽がすべてを包み込み、僕はまだ笑えるのだ、と。


 2. Gemini (論理と構造の物語)

 タイトル:『最適化の果て、海辺の再起動』


 私はミナト。フリーランスのシステムエンジニアだ。手元の空っぽの財布は、フリーランスの不安定な生活と、月末のサーバー代の請求書を象徴していた。今日の目的は、海辺のカフェでクライアントと打ち合わせをすること。


 しかし、打ち合わせ場所へ向かう途中で、私の自転車がパンクした。


【原因と結果の分析】 パンクは予期せぬ摩擦係数の増加による結果であり、これを人力で解決するのは非効率だ。だが、私は財布が空で、修理代もタクシー代も捻出できない。打ち合わせに遅れることは、契約機会の損失、すなわち未来の収益減少という負の連鎖を生む。


【最適解の発見】 私は自転車を押し、歩き始めた。焦燥感に駆られ、思考は常に最悪のシナリオをシミュレーションしていた。


 打ち合わせ場所まで残り数百メートルの砂浜に出た時、西の空がオレンジから深紅へとグラデーションを描く海辺の夕陽に照らされた。


 その光景は、私が普段向き合っているデジタルな世界とは全く異なる、**「自然界の完璧な最適化」**の構造を示していた。太陽と地球の位置関係、光の屈折率、大気中の粒子濃度――すべてが完璧に配置され、これ以上ない美しい光景が形成されている。


 立ち止まり、深く息を吸う。私は気づいた。 目の前の問題(空の財布、パンク)は、解決不可能なシステムエラーではない。ただの局所的な制約条件にすぎない。


 私はクライアントに現状を正直に伝え、場所を海辺に変える提案を送信した。そして、この夕陽の光景を前に、新しいプロジェクトの**「収益モデルの再構築」**について語り始める。


 空の財布は一時的な状態であり、パンクは経路の変更を強制したトリガーだった。この海辺の夕陽の下、私は最も論理的で、美しい未来の構造を設計し直すことができた。


(論理的な制約を克服し、問題解決の構造を再構築した物語)


 3.Copilot:三題噺:夕陽と空気と、財布の中身


 海辺の道を、自転車で走っていた。

 夕陽が水平線に沈みかけていて、空は金色から茜色へとゆっくり染まっていた。

 風は心地よく、潮の匂いが鼻をくすぐる。

「完璧な夕暮れだな」と思ったその瞬間、後輪がぐにゃりと沈んだ。

 パンクだった。

 海辺の舗装されていない道に、何か尖ったものが落ちていたのだろう。

 仕方なく自転車を押して歩き出す。

 近くに修理できそうな店はない。スマホで検索してみるが、最寄りの自転車屋は3km先。

「まあ、歩ける距離だし」と思ったが、ふと財布を開いてみて、言葉を失った。

 空っぽだった。

 小銭すらない。カードも置いてきた。今日は「夕陽を見に行くだけ」のつもりだったから。

 夕陽は、そんな事情を知るはずもなく、静かに沈んでいく。

 自転車を押しながら、歩く。

 風が吹く。

 潮の匂いが、少しだけ濃くなった気がした。

 そして、ふと気づく。

「これ、悪くないな」と。

 パンクした自転車、空っぽの財布、そして海辺の夕陽。

 何も持っていないのに、何かを持っている気がした。

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