水
水嶋
つやつやと
つやつやとした透明な細長いガラスの容器にそれは入れられていた。
「これを飲めば辛い事も嫌な事も忘れてただただ平穏な気持ちになれます」
怪しい…
目の前に差し出されたソレは見た所ただの水にしか見えない。
容器を振ってみても匂いを嗅いでみてもやはり水にしか思えない。
何故今、こんな事になっているのか…
元を辿れば半分興味本位
半分自暴自棄…
俺は取り返しのつかない位の借金をしてしまった。
親友だと思ってた奴にまんまと嵌められた。
結婚を目前にしていた彼女だと思ってた女とグルだった。
2人はトンズラした。
全てに絶望した。
どうでも良くなった。
人生やり直す気力も失った。
手っ取り早く楽になりたかった。
苦しまない自殺方法を検索していた。
そこでたまたま見つけたサイトでこれを知った。
『辛い事も嫌な事も忘れてただただ平穏な気持ちになれます:無料※但し交通費自己負担』
何だろう…
限りなく怪しい謳い文句なのに変な所で現実的な注意書き…
何かヤバい薬漬けとかにされてケツの毛までむしり取られるのだろうか…
まあこれ以上借金は出来ないだろうし、どうせ死ぬ気だし、マグロ漁船に乗せられようが臓器販売されようがドバイにお金持ちのオモチャとして売り渡されようがどうでも良いと思った。
どうせ死ぬなら普通の人が経験しない様などん底の死に方も悪く無い。
当初の苦しまないでの対局だけど…
吸い寄せられる様に連絡して指定された場所に来た。
そこでこれを差し出されて今に至る。
ふと見上げると…
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