第7話 アシル、勇者パーティーから追放される。
セーフティエリアにドン、ドン、とクリムゾンスネークが攻撃し、セーフティエリアの防御機能がクリムゾンスネークの攻撃を弾く。「え?」と僕は聞き返す。一瞬何を言われたか分からなかったからだ。僕は震える声でいう。「え、え?も、もう一度言ってくれませんか?」と聞くとテオフィル様が、「ん?だから君がここに残れ、アシル。」といわれ「む、無理ですよ!僕は"弱すぎて"戦えないんですよ!」それはテオフィル様が1番よくご存知じゃないですか、というと「知ってるよ。だから"お荷物"アシル、僕ら疾き誓いの"為"に犠牲になれと言ってるんだよ。」といわれ、頭が追いつかない。「可哀想だからポーションはいくつか置いといてあげるよ。」と言われる。悔しくて涙が滲む。「な、なんでですか?僕はパーティーの為に一生懸命…」というと「何故アシル、君を疾き誓い、パーティーに入れたか、分かるかい?僕らは勇者パーティー、疾き誓いだ。周りから崇められ、称えられる必要がある。しかし、あの時はそこまで知名度もなく淡々とクエストをこなすだけだった。ある時、噂を聞いたのさ。罠設置、罠解除、索敵しか使えない、無能がいるとね。無能の斥候アシル、君だ。」といい、続けて言われる「僕は思った、アシルを利用し、知名度をあげようとね。」といわれ、怒りに震える右手を拳を作り抑える。「"無能の斥候"を入れる優しいパーティーなんだと、"無能"がいても勇者パーティーは、なんなくクエストをクリアできるのだと知らしめた。おかげで知名度もかなり上がった。だから…アシル、君は用済みだ。」といわれ、悔しくて涙が溢れる。「ぼ、僕は仲間だと思っ…」って言うと、テオフィル様は「仲間?ああ、ちなみに僕らは全員仲間だと思ったことは無いよ。最初から僕の仲間は、タンクガイ、聖女ティニー、弓使いアンジーだけさ。」といわれ、僕は殴り掛かる。するとテオフィル様は僕に容赦なく腹パンを決め、腕をひねり揚げていう「ああ、もう会うことはないと思うから言っておくけどティニーとアンジーは僕の彼女達だ。ティニーも君が嫌いらしい。」といわれ、愕然とし、聖女や周りを見つめると冷めた視線。(僕は、何もしてないのに、真っ当に生きてきたのにっ!)と内心毒づく。すると急に青から赤くセーフティエリアが点滅し始める。テオフィル様は続けていう。「君、祖母が居たよね。もし会うことがあれば、祖母も利用して君と今から行く場所に送ってあげるよ。」と言われ、「アシル、最後に教えてあげる。"才能がない人間は才能がある人間にはどう足掻いても勝てないんだよ"、アシル、君よりも僕の方が強い。だから君は僕に負けたんだよ。人生でも強さでも恋愛でも、ね。」といい、転移石がパリン、と割れる。そして置いて行かれる僕。セーフティエリアが解除される。後ろにはクリムゾンスネーク。疲れた。もう何もかもが嫌だ。クリムゾンスネークはSランクに近いAランクだ。ステータスがあがらない僕が勝てるはずないと思いながらテオフィル様、いやテオフィルが言った言葉を思い出す。「ばあちゃんまで、利用して殺す??ふざけるな。」と今まで出したことのない地を這うような声が出る。後ろを振り向き、獰猛な目で僕を見ている。クリムゾンスネークに怖くて足が震えそうになるがモーガンの店で買った、黒い剣を構えてクリムゾンスネークに1人向き合うのだった。
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