第三章 2話 「バディ誕生」
白羽探偵から言われた言葉に驚く白生。
「え?僕達2人でどこに行くんですか?」
「まぁ近くだから安心してくれ、それに依頼も何も難しい事はない」
「いきなり初仕事ですか!?楽しみー!」はしゃぐ金雀枝を他所に「凪翔さん、なんで彼女を雇ったんですか?」
「いいじゃないか、いい子そうだし。それにお前にはよく働いてもらっているし、助手をつけて労力を減らそうと思ってな。」
「別に僕は平気ですよ?というか、彼女大丈夫なんですか?探偵に向かない性格していると思いますけど。」
「白生さん、大丈夫ですよ!私探偵じゃなくて、助手として働いていくんで!!」胸にドンッと拳を当てて話す彼女を見て更に不安になる白生。
もう何を言ってもこの状況が覆ることがない事を、理解する白生は白羽探偵に尋ねる「それで、依頼はどういったものなんですか?」
「それがな、川で最近不審な者を目撃したという事例が発生しているらしく、その不審者の特定をしてくれとの事だ」
「なるほど、不審者だと思われる人物の特定又は写真やデータを入手すればいいんですね?」
「あぁそういう事だ、別に不審者を撃退したり警察に突き出すといった実力行使ではなく、情報を集めてくれれば良いとのことだ。」
「うー!ワクワクしますね!」
「そんなに楽しい事じゃないよ、君が思ってるほど派手な事はしないよ。」
「でもでも、なんか面白そうじゃないですか!?」
はぁと、ため息をつきつつ「調査する時は慎重に行動してくれよ?」
目をキラキラさせて「はい!わかりました!」
「凪翔さん、それで場所はどの辺なんです?行ってきて欲しいってことは、少し離れた所なんですか?」
「ここからだと電車で1時間ちょっとか、行ってきて欲しい所はO町だよ。」
「O町ですか、入り組んでる所ですね。」
「O町って聞いた事あります!自然が豊かな所ですよね?ここから電車で1時間もかかるんですね。」
「ここ東京でも、科学が発展しているのはサイエンスガーデン内だけだからね。」
「サイエンスガーデン?なんですかそれ?」
「君、知らないのか?」
「金雀枝ちゃん、本当に知らないのかい?」
「私、最近東京に来た者で‥‥よく知らないんですよね〜あはは」
「サイエンスガーデンっていうのは、まぁ簡単に言うと外部より数十年進んだ科学技術を研究、運用している所だ。確か人口の7割は学生で外部とは独立した教育研究機関を運用しているとも聞いてるよ。最先端科学技術を味わえる科学の楽園であり、学生の街でもあるんだ。」
「そうなんですね、名前は聞いた事あったんですけど、そこまで詳しくは知らなかったんですよねー」
「他にも、北海道と沖縄に支部があったはずだ。沖縄はかなり小さい支部だと聞いたな」と思い出すように白羽探偵は言う。
「まぁ僕達には関係のない事だけどね。」
「どうしてですか?」
「あそこに入るのはかなり厳重なセキュリティを突破しないと入れないんだ。一般の人が許可を得て入れるのは年に一回か二回ぐらいだろうね。まぁ外部に科学技術の流出恐れての事だろうね。」
「なるほど〜私には縁のない話ってことですね!」
「僕も凪翔さんも縁のない話だよ。まぁ行く理由もないしね。」
「それじゃあ、今日は解散して大丈夫だぞ。とりあえず明日から頼むぞ。」
「はい!」ビシッと背筋を伸ばして返事する金雀枝。
「わかりました。」
「ちょうど明日は祝日だしな、頑張ってくれよ2人とも」
「凪翔さんは来ないんですか?」
「悪いねぇ金雀枝ちゃん、俺は別件でな。いつか俺の名探偵ぶりをお見せしよう。」
「本当ですか!?楽しみにしてますね!」
「凪翔さん、僕にも名探偵ぶり見せてくださいね。」
「おいおい翔廻!それじゃあまるで俺が今まで見せてこなかった口ぶりだな!?」
「冗談ですよ。じゃあこれで」
白生と金雀枝は白羽探偵事務所を後にするのだった。
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