白昼夢
たちばな かん
金色の整えられた羽根
翼を支える筋の張る背中
部屋が満たされるほどの光を放ち
解れた畳に降り立つ
からだはどこまでも細く力強い
優美な曲線を描き振り返る
瞬きひとつで魔法にかけられる
海のように深く
木々のようにあたたかい瞳
冬を思わせる可憐さに魅せられ
夏特有の情熱をあてられ
秋らしい落ち着きにより冴え
春の陽だまりを持つ視線に溶かされる
冷えた手が頬を滑る
ゆっくりと心までを撫でる
私の髪を掬っては微笑み
美しいと言葉を落とす
力の抜けない眉間をつついては
もったいないと鈴を転がす
膝を抱えて屈み
甘い香りを漂わせる
私の瞼に触れては立ち上がる
透き通る肌と柔く舞う羽毛
両手と両翼を広げて太陽のように照らす
迷うことも出来ずに寄りかかれば
夜のような静けさと
月のような輝きに包まれる
濡れる眼を隠そうと俯く
全てを抱きとめると私を隠す
震える背中をさすっては
夢の中に浮かばせる
目が覚めた時には深夜だった
寒さに震え布団を被れば
金色の羽根が私の鼻をくすぐった
白昼夢 たちばな かん @citrus7
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