第2話
イギリス南方、ドーバー海峡沖。
灰色の空の下、波を切り裂くように進む200隻の日本艦隊。
甲板上では、自衛官と冒険者たちが最終点検を終え、固く拳を握っていた。
「敵影、確認!
「ちっ、来やがったか……!」
前方の海面が盛り上がり、巨大な渦が生まれる。
その中心から、鋼の鱗を光らせる青竜たちが次々と姿を現した。
一体一体が全長百メートルを超える巨体。
海を支配する王たちが、侵入者に牙をむく。
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――作戦開始
「全艦、第一戦闘配置!対竜戦闘を開始せよ!」
山本海将の号令が響き渡る。
艦橋の窓を覆うほどの青い閃光。
ミサイルが一斉に発射され、魔法使いの冒険者たちが詠唱を開始する。
「《雷槍(ライトニング・スピア)》――発射ァ!!」
空を裂く稲妻の槍が海面を貫き、青竜の一体を直撃。
爆発の光が閃き、海が一瞬、真昼のように輝いた。
「命中確認!だが……まだ動いてます!」
「構うな!止めを刺せ!」
護衛艦〈あたご〉の甲板から、対艦ミサイルが二発発射される。
連続する轟音。青竜の片翼が吹き飛び、断末魔の咆哮が響いた。
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――空の脅威
その時、レーダーに新たな反応が現れた。
「上空に反応多数!……まさか!」
見上げた瞬間、曇天を割って
灼熱の炎が空を染め、海上を焦がす。
「ちぃっ!上から来るぞ!護衛艦〈こんごう〉、対空ミサイル発射!」
「魔導班、対空魔法展開!」
無数のミサイルが空へ。
魔法陣が展開し、蒼い光線が火竜たちを撃ち落とす。
しかし、空の主たる赤竜は容易には墜ちない。
「一匹突破!〈いずも〉に突っ込むぞ!!」
「全砲門、斉射ッ!!」
轟音とともに、〈いずも〉の主砲が火を噴いた。
砲弾が赤竜の顎を撃ち抜き、巨体が海面へと叩きつけられる。
その衝撃で高波が立ち、甲板の兵士たちはしぶきを浴びた。
だが誰も怯まない。
彼らの眼差しは、ただ一つ――“イギリスを救う”という決意に燃えていた。
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――蒼と紅の嵐
青竜と赤竜が海と空で暴れ回る。
ミサイルの閃光、魔法の光柱、竜の咆哮。
空と海が、まるで地獄のように燃え上がっていた。
「まだ押されてるぞ!魔法班、連携を取れ!火竜の翼を焼け!」
「了解ッ!――《氷嵐の女王(クイーン・ブリザード)》!!」
甲板上に立つひとりの女性冒険者が詠唱を終える。
氷の風が吹き荒れ、上空の赤竜たちの翼を凍りつかせる。
もがく竜たちはバランスを失い、次々と海に墜ちた。
「よし!このまま押し切れ!」
山本海将が叫ぶ。
彼の背後には、旭日旗を掲げた艦隊が並ぶ。
炎と氷、光と闇――その全てが戦場で交錯していた。
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――そして夜が明ける
戦闘は十数時間に及んだ。
海は黒く染まり、空は煙と炎で覆われた。
しかし、やがて――空から竜の影が消え、海が静まり返る。
「……終わったのか?」
誰かが呟いた。
海上には、竜の亡骸と漂う光。
波間には日本の艦隊が整然と浮かび、白い煙を上げていた。
「戦闘終了。青竜・赤竜、全滅を確認。」
山本海将は、静かに敬礼した。
その瞳に浮かぶのは、誇りと哀しみ。
――彼らが貫いたのは、武士道そのものだった。
「全艦、イギリスへ向かえ。
救うべき人々が、まだ待っている。」
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海風が静かに吹き抜ける。
夜明けの水平線の先に、ロンドンの灯が見え始めた。
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