第11話 撃ち抜け! 打倒破壊種エレキラゴン
「行ってみよっ、アル君」
「ああ!」
アスカは軽やかな足取りで発電施設へと走る。
今さらだが、裸足で平気なんだろうか?
靴すらも履くのを嫌がってワイシャツ1枚だけとか色々と問題だ。
あまり物を身に付けるのは苦手なのかもな。
──施設は壁や建物が黒ずみ、送電線も何本か切れていた。
施設に備え付けられているライトは点滅を繰り返し、時折駆動音が聞こえ、ガタがきていながらも稼働していた。
なんか、もの悲しい。
──発電施設の敷地に入り込むと巨大な蛇はこちらを認識し、シュルシュルと音を立てながら近づいてきた。
──体長は10メートル程で見た目はアナコンダに似てる。
だが、太さが段違いで人間を軽く呑み込める程だ。
体色は黄色く、帯電しているからかスパークを帯びており、こちらにもピリピリと電流が流れ込んでくるようだった。
「キシャアアアアアッ!」
エレキラゴンは不快な金切り声を上げながらすごい速さで僕を丸呑みにしてきた。
「アル君!」
アスカはエレキラゴンに猛スピードの拳と蹴りを叩き込む。
ヤツの腹部が抉れ、肉片がちぎれ飛ぶ!
「ギシャッ!?」
さらに僕はヤツの口内で剣を抜き、振り回し滅多斬りにする。
エレキラゴンの頭が微塵切りになり、グチャッと地面に落ちる。
アスカは満面の笑顔で僕に駆け寄った。
「やったね、アル君♪」
「ああ、アスカのおかげだよ」
アスカとハイタッチを交わし、僕は微笑む。
実際、精神的に余裕があるのはアスカの存在が大きい。
一緒にいると安らぐし楽しい。
そして、今は頼もしい相方だ。
僕はふと、エレキラゴンに目を向ける。
「……っ! 頭が、体が再生していく?」
「えっ……?」
なんて再生力だ!
エレキラゴンは再生を終えると体を起こし、口を開け、電撃を放ってきた。
「くっ!」
咄嗟に前に突撃し、アスカが巻き込まれないように電撃の直撃を受ける。
「アル君!」
「大丈夫だ! 少し痺れるけど」
エレキラゴンはさらに全身に電気を纏い、バリアのようなものを作り出す。
「くっ、電流で体の動きが鈍る! これじゃあ近づけない!」
「ど、どうしよ、アル君?」
なら、物を投げつけて倒せば良い!
そう思った矢先、右腰の辺りが光輝く。
「なっ、これは?」
右腰には、いつの間にかホルスターが装着されており、そこには銃身の長い大型のリボルバーが入っていた。
「どうなってるんだ!?」
いや、そもそも肉体が変異し、服や剣を持っていた時点であり得ない事しかない。
何らかの理由で生成されたと今は勝手に解釈しておこう。
僕はリボルバーを構え、エレキラゴンに向けて引き金を引いてみる。
「うおわぁっ!?」
「アル君?」
爆音と共に弾丸が発射され、凄まじい反動で後方に吹っ飛ばされてしまった。
壁を背にして撃つか、何かに掴まって撃つ必要がありそうだ。
筋力は絶大だとしても、やはり体重はどうしようもない。
僕は剣を地面に突き刺し、それを握りしめながらリボルバーをエレキラゴンに向ける。
「グアァァァァッ!」
ヤツの体には大穴が空いていた。
真っ二つにちぎれそうなほどの大穴は少しずつ再生を始めているが、かなり錯乱しているようだ。
「食らえっ! このバケモノめが!」
大砲を思わせる爆音が響き渡り、極太の輝く弾丸が発射され、ヤツの体が次々に吹き飛んでいく。
そして、最後の6発目を放った時……。
「ぐっ!?」
さらに大きな轟音が鳴り響き、さっきの数倍はある反動が全身を襲う。
剣を突き刺した地面が抉れ、そのまま飛ばされそうになる。
瞬間、背中に温もりを感じた。
アスカが背中を抑えてくれていたんだ。
「だいじょぶ? アル君?」
「ありがとう、大丈夫だ」
エレキラゴンは尻尾を残し、他の部分は完全に消し飛んでいた。
「ワタシたちの、完全勝利だねっ♪」
「ああ!」
お互いを見つめ合い、僕とアスカは勝利の余韻に浸る。
ふと目をやると、エレキラゴンのいた場所には黄色く輝く石が遺されていた。
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