日常の明るさの裏側に、静かに揺れる気持ちが息づいている作品でした。
登場人物それぞれの“強がり”や“未熟さ”が丁寧に描かれていて、
読み進めるほど、彼らの心の奥にある弱さや願いがじんわり伝わってきます。
すずめの無邪気さと、その奥にある孤独。
たろうの不器用なまっすぐさ。
周囲の人間関係が複雑に絡まりながらも、どこか人間らしい温度を失わないのが、この物語の魅力だと思いました。
ときに残酷で、ときに優しく、誰かの“想い”が行動ににじんでしまう瞬間がいくつもあって、そのたびに胸の奥が少しきゅっとするような感覚になります。
そんな感覚もありながら、読者がそっと寄り添えるようなあたたかさもある、素敵な作品です。
続きも楽しみにしております。