キャロリング

讃美歌を歌いながら登校している。そのことを、ひとりでキャロリング、と呼んでいる。キャロルは讃美歌の一種、ということらしいけれど、私はどの讃美歌を歌うのでもキャロリングと呼んでいる。かわいいから。

最近はJーP O Pみたいな讃美歌もあったりするんだけれど、私は、トラディショナルな讃美歌が好きだ。

マフラーで口元を隠し、音が漏れないように歌っている。そこに礼拝の気持ちがあるわけではない。でも不思議なことはよく起こる。ヒヨドリ達が、ヒヨヒヨと私の歌に合わせて歌ってついてきたり、タヌキが前脚を上げて、こちらの方を向いていたり

「ああ めぐみ はかりしれぬ めぐみ」

私の歌にハモってくる人もいる。

「私も好きよ、この聖歌」

綺麗な人、と思っているうちに去っていってしまう。私はそんなに大声で歌っていたのか。明日も、歌っていたら会えたりするかな。

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