ホール食い

エアコンの音がカタカタと鳴っている。鉛筆の芯の擦れる音がやむことなく響いている。私は鉛筆を置き、窓の外を眺める。視線の先を鳥が滑空してゆく。

答案用紙はほとんど埋まっている。

先週の放課後は毎日、楽しかったな。テスト勉強と称して、ファストフードに長居をする。実際にテスト勉強をしていて、私の正面に座るねいはひたすらノートに向かって書き込んでいる。私と目を合わせることもない。

私たちはとても真面目に真剣に期末試験の勉強をしていた。ふざけることもなく、時折、私が今みたいにぼんやりと物思いにふけるような時間があるだけだ。

それだけで嬉しい。寧の時間の半分を所有している気分だった。同じ空間に居て、同じ空気を吸っている。私は寧を独り占めしているこの時間をホール食いと呼んでいる。脳が痺れるような甘さにどっぷりと溺れているから。

それを知られたくない私は鉛筆を走らせる。

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