第2話 瓦礫の中の原石
だが、孫堅がその地を踏んだとき、鼻腔を突いたのは、
城壁は
中にいたのは、前の太守が残していった
孫堅は舌打ちをした。
弱い。あまりにも
乱世において、権威という名の衣服を
「……掃除だ」
孫堅は低い声で
「腐った肉は削ぎ落とさねばならぬ。役立たずどもを一掃せよ。帳簿と戸籍を洗い直せ。俺が必要とするのは、
孫堅の号令は、
即座に、孫堅直属の兵たちが動き出す。役人たちは悲鳴を上げて逃げ惑い、あるいは引きずり出された。
それは
その
若かった。二十代半ばであろうか。周囲の混乱など存在しないかのように、彼は散乱した
孫堅は
「
「……
男は手を休めず、淡々と答えた。顔を上げると、そこには
孫堅は目を細めた。他の役人が逃げ出す中、なぜこの男だけが残っている。恐怖がないわけではあるまい。指先は
「
「
「賊が奪えるのは
「……理、か」
孫堅は口の中でその言葉を転がした。
武人の自分にはない発想だ。自分は剣で敵を殺し、
腹の底が、熱くなった。
これだ。俺が求めていたのは、こういう「硬さ」を持った男だ。
孫堅は、
「
「な……着任早々、何を
「功績など、後からついてくる。俺が見込んだのは、その眼だ。貴様のような男が上に立たねば、この国は腐り落ちる」
孫堅は
「俺はこれから
「……
後に孫堅が
数日後。
戦いと呼ぶには、あまりにも一方的な
対する孫堅軍は、
先頭を駆けるのは、孫堅その人であった。
「邪魔だッ!!」
孫堅の
指揮官が最前線で剣を振るう。兵法からすれば
大将の背中こそが、最大の
足元には、
勝った。だが、終わっていない。
(……
戦いの
孫堅は
その金属音が、次なる戦場への合図のように鳴り響いた。
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