12月28日

「寒いのに?」

「おう!」

 渚は冷凍庫から2個入りの餅アイスを取り出す。

「真夏に食べんのもい〜けど、コタツで食べんのもマジでうまいからな」

「そうなんだ……」

 束沙の隣に腰を下ろし蓋を開ける。

「冬と言えば、だよな!あ、食べれる?」

「うん、大丈夫だよ」

「んじゃ、口開けて」

 束沙が口を開けると、渚はそこに1個を突っ込む。

「っ!」

「ありゃ、大きかったか?」

 束沙は口全体で潰すようにして食べていく。

「…………、大きすぎるよ……美味しかったけど」

「おいしかったんならヨシ!」

「良くないよ……」

 渚はもう1個をひと口で食べる。

「……」

 その様子をジッと見つめる束沙に、渚は首を傾げる。束沙は微笑んで答えた。

「気にしないでいいよ」

 アイスを食べ終えた渚は床に避けていたプリント類を机上に移動させる。

「束沙の言ったとおりだったぜ」

「と言うと?」

「時間ぜ〜んぶ費やせば、今日中に宿題終わりそうだっつーこと」

「じゃあ、僕は帰ったほうがいいかな」

 立ち上がろうとした束沙の肩に手を置く。

「いやいや、わかんねぇとこ聞くからな!」

「わかったよ」

 座り直した束沙は、持って来たリュックから本を取り出す。

「それは?」

「検定の勉強用。就職に有利になるらしいから」

「へぇ~」

「僕のことは気にしないで、課題に集中しなよ」

「わかってるっての」

「……あ〜、やっと終わった〜……」

 渚はプリントに顔を沈める。それを見て束沙は微笑んで言う。

「お疲れ様。期待通りだね」

「束沙のおかげだわ……」

 渚は身体を伸ばし、ガラス戸の外を見る。

「あっ、もう真っ暗なんっ!?」

「そうだね」

 束沙はリュックを背負い玄関に向かう。

「ちょい待って、俺も行く」

 そう言った渚は勢いよく階段を駆け上がってさらに着込んで来る。

「さ〜み〜」

 吐いた瞬間に白くなる息が空へ昇っていくのを眺めている間に、束沙は自転車を押し始める。

「今から買い物に行くの?」

「おう、頼まれてたの忘れてたんだよな〜」

 渚は束沙の隣を歩く。

「明日は大掃除して、明後日は正月準備して、あ、明々後日は泊まるよな?」

「え、いいの?」

「おうよ!そしてそのまま初詣行くだろ?」

「あぁ、そうだね」

「あと、2日と3日は多分家居ねぇから、よろしく」

「正月の集まり?」

「そ〜」

「そんなにたくさんやることあるなら、無事に課題終わって良かったね」

「それもそ〜だな」

 スーパーの前まで来て、渚は片手を挙げる。

「じゃあ、気をつけてな」

「渚もね」

 束沙も応じるように片手を軽く振り、自転車に乗る。

「大掃除か……僕もやろうかな」

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