大学の怪談話から、病院の待合室、そして「宇宙力こすもぱわー研究会」へとつながっていく流れが、軽快なのにどこかじわっと可笑しくて惹き込まれました。妖怪談をメタに突き放しながらも、天土狐先輩という“現代の妖怪”みたいな存在が登場することで、世界の見え方が少しずつズレていく感じが心地よいです。語り手の皮肉まじりのモノローグもテンポがよく、春のキャンパスの浮ついた空気と、どこか古い怪異の気配が同居しているような、不思議な余韻が残る一篇でした。