第3話 異世界文化体験
壮真はサーヤを背負いながら、洞窟の奥にある自分の部屋へと戻ってきた。サーヤは文句を言いながらも、耳が赤くなっている。
「ふん!騎士たるもの、男に運ばれるなど屈辱だ……だが、仕方ない。今は動けぬからな……くっ!ころせ!」
「はいはい、もう慣れてきたよそのセリフ……」
部屋に入ると、サーヤは目を見開いた。
「おお!へやの感じは私の部屋と同じだな。私の部屋も洞窟内に家具が引っ越してきた感じだしな。」
壮真はベッドにサーヤをそっと寝かせる。
「ふわっ……な、なんだこの柔らかさは!?雲か!?これは雲なのか!?いや、違う!これは……天国の感触だ……!」
「それ、ニ〇リの高反発マットレスだよ。お前が言うように天国へ行ったみたいに死んだように眠れるよ。」
「ニ〇リ……恐るべし……!」
サーヤはベッドの上で感動に震えながら、周囲を見渡す。
「この黒い箱はなんだ?魔導具か?」
「それはテレビ。今は映らないけど、DVDなら見せられるかも。」
「でぃーぶいでぃー……?」
壮真は棚から昔買ったアニメのDVDを取り出し、プレイヤーにセットする。画面に映し出されたのは、魔法少女が空を飛びながら敵を倒すシーン。
「な、な、な、なんだこれは!?絵が動いている!?しかも音も出ている!?これは幻術か!?いや、幻術にしては精密すぎる!」
「これは映像作品っていって、物語を絵と音で見せる娯楽なんだよ。まあ、異世界にはない文化だろうな。」
サーヤは目を輝かせながら、画面に釘付けになる。
「すごい……すごいぞ……この世界の技術は、魔法を超えている……!」
「まあ、魔法はないけどな……」
「この少女、かわいい……!衣装も素晴らしい……!私もこんな服を着てみたい……!」
「えっ、着るの?いや、似合うかもだけど……」
「ふん!騎士としての誇りはある!だが、かわいいものは正義だ!」
「ほんとブレないな……」
サーヤはベッドの上でDVDを見ながら、異世界文化に感動し続ける。壮真はその様子を見て、少しだけ笑った。
「とりあえず、その鎧はどうする?着たまま寝るのか?」
「うむ!見張り時には着たまま仮眠をとるからこれでも熟睡できるぞ!」
「仮眠で熟睡ってそれはいいのか?」
壮真はスマホを見る、時刻は12時を過ぎていた、そろそろ昼かと昼飯をどうしようと考え始めたとき・・・
ゴオオオオオゴオオオオオオゴゴゴゴゴ!!!!!!と地震かと思うほどの激しい音が鳴った。
「やばい!!!地震か?火山が噴火しそうになっているのか?」
壮真は慌ててサーヤをかばい上に覆いかぶさった。
「違う違う!!!これは地震とかではなく・・・・私のおなかの音だ!!!」
「えっ?」
「だから!私のおなかの音だって!!!」
「お前・・・マジか?」
「すまぬ。スキルで体力をかなり消費しているからおなかもかなり減るのだ。」
「壮真殿すまぬ、さっき食べたものをもう一ついただくわけには行かないだろうか?」
「いや、別にそんなにかしこまらなくても分けるよ、それより昼はもう少し違うものを食べようか?」
「違うもの?」
「まあ待ってろ、すぐ持ってくるから。」
そう言って壮真は戸棚へ行き災害用のレトルトご飯をいくつか持ってきた。
「そっちには米って食べ物はあるのか?」
「コメ?そういう物は聞いたことがない。」
「いつも何を食べてるんだ?」
「いつもは動物や魔物を狩ってそれを焼いたり煮たりしたものとパンを食べてるな。」
「パンがあるのか?ちょっと待てよそのパンはこっちのパンと違うかもしれんな。パンとはどんな物だ?」
「パンはメジという植物からとれる物でそれを粉にして水で練って焼いたやつだ。」
「メジはこっちでいう小麦かな?こっちの主食は米だ。この白いつぶつぶが米だ。」
「おや?それはムジじゃないか?メジに似た植物でこちらではあまりとれないから食べられてないな。」
「おっ!やっぱりあるのか。けど食べられてないのか?もったいないな。」
「うまいのか?」
「そうだな、とりあえず肉、魚、なんにでも合うし、そのまま食ってもうまい。まあ食べてみろって。」
そう言って壮真はパッケージを開け、中にお湯を入れ封をしめた。
「それはお湯か?」
「そうだ、本来なら鍋で煮て30分ぐらいかかるのだが、これはお湯を入れて3分待つだけでできるのだ。」
「30分は時間の単位か?こっちでも分をつかうのか?」
「そうだ、1日を24に分け24時間、1時間を60に分け60分、1分を60に分け60秒が時間の単位だ。」
「ほうほう、単位まで一緒とは何か関係があるのか?」
「まあ、それはおいおい話していこうぜ。今は食べよう。」
壮真は封を開けスプーンで米をすくいサーヤの口の前につきだした。
「ほうムジを煮るとこんな風になるのか。」
「正確に言えば炊くだけどな。ほら食べてみろ。」
「では、いただくとしよう。はむ・・・もぐもぐもぐもぐ・・・・・ごっくん!・・・・」
「どうだ?」
「うまーーーーーーーー!!!!はやくはやく!次食べたい!!」
まるで餌を待つ雛のように次をねだるサーヤ、その様子を見て壮真は「ほんと残念な奴だな・・・」と微笑みながらご飯を口に運ぶ。
「うまうま・・・、すごいなーおぬしの世界は、こんな旨いものがお湯を入れるだけで食べれるなんて。」
「褒めてくれるのはありがたいけど、残り48個しかないからな。」
「なにーーーーーーーーーー!!!!そうか・・・・・・あと48回しか食べられないのか・・・・」
「ちょっと待て、なんでお前が全部食べる前提なんだ。」
「俺の持っている食料は限りがある、とりあえずこれからどうしたらいいかまったくわからないので、生活基盤を安定させようと思う。」
「生活基盤の安定か・・・、住むところはある・・・、ハッ!!!そうか!!!着替えだな!!!」
「ちげぇよ!食べ物だろ!幸い水はなぜか際限なく出る。」
「おっ!それは水の魔道具かおぬしやはり貴族ではないのか?」
「おっ!そっちにも蛇口があるのか?じゃあこっちのコンロもあるか?」
「火の魔道具もあるぞ、貴族はな。」
「高級品なんだな。こっちは大体どの家庭にもあるぞ。」
「すごいなそちらは。こちらはどの家庭も水がめとかまどしないぞ。」
「とりあえず、住むところと水は大丈夫、やっぱり食べ物かな?とりあえず俺一人なら1年以上は持つ予定だった。」
「そうか、では3か月ぐらいしか持たないな。」
「いやいや!なんで俺の倍食べようとしてんだよ。とりあえず、そっち側にいる生き物は知ってる生き物だから食用かどうかはわかるが、俺は捌けない。こっちの動物は食べれるかどうかはわからない。」
「私が捌けるぞ。遠征時はよく狩りをしてたからな。」
「おお!それは助かる。とりあえずこちら側で狩って食べてみよう。あとは、風呂はあるから・・・」
「なに!!!!風呂があるのか?!本当にすまんが私も使わせてはもらえないだろうか?少しぐらいなら覗いてもいいから・・・・」
「覗くか!!!まあ、お湯も使い放題だから多分大丈夫だな。石鹸なんかがなくなるから作る方向で進めるか・・・」
「なんと!石鹸をつくれるのか?おぬしは錬金術師かなにかか?」
「違うよ、ただの会社員だ。作ったことはないが作り方ならここにある。」
そういうと壮真は本棚へ向かい本を1冊取り出した。
『これであなたもサバイバー!完全サバイバルブック!』
「なんだその本は?」
「これは、俺のバイブルだ!これさえあればどんな状況でも生き残ることができる!!それぐらいすごいものだ!」
「おっ!おお、そ、そうか。それはすごいものなのだな。」
早口気味にしゃべりだした壮真に若干引き気味になりながらもなんとかさやは返事をした。
「とりあえず、今日は疲れたからゆっくりするか。明日から協力して生き残って色々調べることにしよう。」
「うむ、私も明日の朝までは動けん。明日からがんばるのでよろしくお願いする!」
「そうだった、動けないんだった。まあ腹減ったり、喉乾いたらちゃんと言えよ。」
「うむ!感謝する。ところで今気づいたのだが・・・」
「なんだ?」
「私はトイレはどうすればいいのだ?」
「まったく考えてなかった・・・・・・どうしよう・・・・・」
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