第1話:あり得ないギルド

 革職人とその揺るぎない循環論法との遭遇の後、村をもっと探索することにした。もしかしたら何か――何でもいいから――この場所で理にかなっているものがあるかもしれない。


 ボロボロの家々の間を歩き、泥の水たまりと、そこら中に放置された革の破片らしきものを避けた。匂いは...まあ、説明しない方がいいだろう。


 そして、それが見えた。


 目の前に、みすぼらしい小屋の真ん中に、そこに存在する権利など全くない建物があった。


 冒険者ギルド。


 壮観だった。磨かれた石造りの三階建て。彫刻が施された木枠の窓。「冒険者ギルド」と書かれた巨大で輝く看板は「村の予算全部をこの看板に使い果たしました」と叫んでいた。魔法の松明(マジで魔法の松明を設定したのか?)が入り口を照らしていた。


 中世アフリカの村の真ん中にスターバックスを見つけたようなものだ。単純に場違いだった。


 小屋の一つの外に座って、空虚な表情でギルドを見つめている老人に近づいた。


「すみません...このギルド、ずっとここにあったんですか?」


「ああ、そうだよ。昔からね」彼は当然のように答えた。


「でも...この村には...何人住んでるんですか?」


「五十人だ。お前を数えれば五十一人だな」


「で、首都からはどれくらい離れてるんですか?」


「おお、かなり遠いな。徒歩で三週間くらいだ」


 ゆっくりと頷きながら、脳がこの情報を処理しようとするのを感じた。


 豪華な冒険者ギルド。五十人の村に。首都から三週間。爪楊枝と希望で組み立てたような家々に囲まれて。


 *もちろんだ。もちろんこんなものが存在する。*


 深呼吸をして、ギルドの扉を押し開けた。


 ---


 内部はさらに馬鹿げていた。クリスタルのシャンデリア。大理石の床。ロビーの中央には装飾的な噴水まであった。くそったれな噴水が。


 そして受付カウンターに、女性がいた。


 いや、「女性」というのは寛大な表現だった。


 人間の体を持っていた。茶色の髪をお団子に結んでいた。受付係の完璧な制服を着ていた。


 しかし、彼女の顔は...


 彼女の顔には浮遊する看板が貼り付いていた。文字通り。黒い文字で書かれた白い長方形:


 **【目を引くデザイン考え中 - 後で完成させる】**


 凍りついた。


 受付係は私に微笑んだ――少なくとも微笑んだと思う、その看板が顔の半分を塞いでいて分かりづらかったが――そして唇を動かした。


 何も聞こえなかった。


 代わりに、彼女の頭の横に浮遊するテキストボックスが現れた:


 **【冒険者ギルドへようこそ! 初めてですか?】**


 ああ、ダメだ。


 ああ、*ダメだ*。


 これは現実じゃない。


「僕...何? 」何とか言葉を絞り出した。


 彼女の唇が再び動いた。完全な沈黙。別のテキストボックス:


 **【冒険者として登録したいですか? 無料ですよ!】**


 自分をつねった。痛かった。まだここにいる。これは起きている。


「あなた...話せるんですか?」絶望的に尋ねた。


 唇の動き。何もなし。


 **【もちろん話せますよ。聞こえてませんか?】**


 こめかみを揉んだ。もちろんだ。*もちろん*。十四歳の時、おそらく「ギルドの受付係」とだけ書いて、顔のデザインや声を与えることを面倒臭がったんだ。だからこの世界がこれを即興で作った。


「分かりました。はい。登録したいです」敗北感とともに言った。


 **【素晴らしい! こちらが規則集です。署名の前にお読みください。】**


 彼女は分厚い本を手渡してきた。表紙には金色の文字で「冒険者ギルド規則集」と書かれていた。


 開いた。


 そして死にたくなった。


 **1ページ目:**

 *「冒険者はランクを上げるためにクエストを完了しなければならない。ランクは:F、E、D、C、B、A、S、SS、SSS、レジェンダリー、ミシック、神級?、そしてスーパーランク(もっといい名前を考える)。」*


 **3ページ目:**

 *「ランクFはスライムを狩り、薬草を採取できる。ランクEはゴブリンを狩れる。ランクDは低レベルダンジョンを探索できる。ランクCはレッサードラゴンを倒せる...」*


 待て。


 前のページに戻った。


 *「ランクBはエリートゴブリンを狩れる...」*


 ランクCがドラゴンを倒せるのに、ランクBはゴブリンしか狩れない?何だって?


 恐怖が募りながら読み続けた。


 **7ページ目:**

 *「ランク昇格のプロセスは都市によって異なる。首都では試験がある。小さな村では5つのクエストを完了するだけでいい。中規模都市では10のクエストを完了し、さらに500ゴールドの会費が必要。港では戦闘能力を証明しなければならない。...」*


 各都市が異なるシステムを持っていた。一つに決められなかったからだ。


 **15ページ目:**

 *「クエストには公正でバランスの取れた報酬がある。」*


 そして次の行に、異なる小さな文字で:


 *「これ全部、第二稿で直す。」*


 そして最後のページに:


 *「最終的には面白いものがあるダンジョンと、よく考えられた魔法システムを追加する。多分しゃべるドラゴンとか。あるいはやめとく。そのうち決める。」*


 ゆっくりと本を閉じた。


「大丈夫?」受付係よりも自分自身に尋ねた。


 **【全部読みましたか? 完璧です! ではここにサインしてください。】**


 サインした。他に何ができる?


 **【おめでとうございます! 入会特典として、こちらをどうぞ。】**


 彼女は布に包まれた何かを手渡してきた。


 開いた。


 パンの切れ端だった。文字通り。拳くらいの大きさの固いパンの切れ端。


 **【とても貴重ですよ! 家より価値があります!】**


「すみません?」


 **【パンは王国で最も価値のある通貨です! これで家が三軒買えますよ!】**


 パンを見つめた。それから彼女を。そしてまたパンを。


「待って...ここの通貨システムってどうなってるんですか?」


 **【簡単です! 物々交換システムを使っています。パンは希少だから価値があります。家はたくさんあるから価値が低い。剣はパン半分の価値。フルアーマーはパン四分の一の価値。城はパン二つの価値です。】**


「でも...」通りの向こうに見えるパン屋を指さした。「パン屋がすぐそこにありますけど」


 **【その通り! だからパンはとても貴重なんです。存在するから。】**


 その論理には全く意味がなかった。それでも彼女は完全に真面目に言った。


 そして理解した。十四歳の時、通貨システムなんて作らなかった。おそらく「物々交換システムを使っている」とだけ書いて、その意味を考えなかった。そしてこの世界は手元にあるもので即興しなければならなかった。


 結果がこの馬鹿げたもの:価値が完全に恣意的で矛盾した物々交換システム。


「で、このパンの半分で...?」


 **【一週間部屋を借りられます! お買い得ですね!】**


 一週間の部屋代がパン半分。でも三軒の家がパン一つ。


 数学はここに存在しない。論理は死んだ。


「完璧です」平坦な声で言った。「クエストはどこで見られますか?」


 **【掲示板に! ランクFのクエストが全部ありますよ!】**


 掲示板に向かった。ちょうど三枚の紙が貼ってあった。


 最初のものを取った:


 **「ランクFクエスト:レベル50禁断の森から薬草を10本採取せよ。」**


 次:


 **「ランクFクエスト:魔王を倒せ。報酬:銅貨2枚。」**


 そして最後の、比較的まともに見えるもの:


 **「ランクFクエスト:巨大ガエル2匹を狩れ。報酬:パン半分。」**


 ガエルのやつを引き剥がした。即死しない唯一のものだった。


 カウンターに戻った。


「これにします」


 **【素晴らしい選択です! 巨大ガエルは東の沼地にいます。頑張ってください!】**


「質問なんですが...武器とか貰えますか?」


 **【武器? なぜ武器が必要なんですか?】**


「...巨大ガエルを...狩るために」


 **【ああ! いえ、装備は提供していません。自分で持ってきてください。】**


「装備持ってません」


 **【じゃあ即興しないと! 創造性が最高の武器ですよ!】**


 彼女を見つめた。彼女――あるいは少なくとも彼女の「デザイン考え中」看板が――見つめ返した。


「完璧ですね。もちろん。武器なしで巨大ガエル相手に即興します。筋が通ってる」


 **【その意気です! お帰りをお待ちしています!】**


 極めて貴重なパンの切れ端と自殺的なクエストを持って、前世で何をしたらこんな目に遭うのかと考えながらギルドを出た。


 ---


 沼地は徒歩二十分だった。想像通りの沼地の匂いがした。淀んだ水、泥、そして明らかに数日前に死んだ何か。


 そしてそこにいた。


 巨大ガエル。


 ...でかかった。小型車くらいの大きさ。茶色の斑点がある緑色の皮膚。私を絶対的な無関心としか表現できない目で見つめる飛び出た目。


 そして動かなかった。


 全く。


 慎重に一匹に近づいた。それでも動かなかった。胸が上下していた――生きていた――しかし足は...足はただそこにあって、何もしていなかった。


 そして泥の中の跡を見た。引きずった跡。


 ああダメだ。


 *ああダメだ。*


 カエルは跳ねなかった。跳ねられなかった。十四歳の時、おそらく「巨大ガエル」とだけ書いて、こんなに大きなものがどうやって動けるのかという生体力学を考えなかったからだ。だからこの世界は、その無限の絶望の中で、這うように進化させた。


 最も近いカエルが動こうとするのを観察した。前足を伸ばした。前に引きずった。次にもう一方。三十秒で約五センチ進んだ。


 人生で見た中で最も哀れなものだった。


 そしてこれを二匹狩ることになっている。


 岩に座って、この哀れな巨大ガエルがカタツムリの速度で沼地を這うのを見ながら、考えた:


 *この世界で他にどんな進化的惨事を引き起こしたんだろう?*


 しかしまず、目の前の問題を解決しなければ:技術的には生きているが、あまりにも遅くて実質的に植物みたいなものをどうやって殺すんだ?


 そしてもっと重要なのは:なぜこれが冒険者のクエストとしてカウントされるんだ?


 ため息をつき、地面から大きな枝を拾い、最初のカエルに近づいた。


「本当にごめん、相棒。これは君にとっても僕にとっても哀れだ」


 カエルは飛び出た目で私を見つめ、自分の運命に完全に無関心だった。


 僕の異世界へようこそ。モンスターでさえ僕の物語的無能から苦しんでいる場所へ。

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