自分が書いた駄作に転生したんだが

@hiyoriaki123

序章:人格を持たぬ女神

 自己紹介をさせてほしい。俺はそこそこ優秀な学生だが、慢性的な怠け癖がある。本当はもっと深刻に受け止めるべきなのに、そうしていない。学校では人気者じゃなかった——社交よりもダラダラするのが好きな人間にとっては当然の結果だ。


 ずっと作家になりたかった。問題は、それがどれほど大変なことか理解していなかったことだ。俺の創作活動はいつも同じパターンだった。最初は熱意に満ちて世界を作り始めるが、難しくなると中途半端に放り出すか、アイデアが尽きて諦める。未完の物語のデジタル墓場だ。


 だが、一つだけ例外があった。


 十四歳の時、トラクターに轢かれて死ぬ男の異世界転生ものを見た。あまりにも感動して、似たようなものを書こうと決めた。いや、「似たような」なんて生易しいものじゃない——ほぼ丸パクリだ。でも公開するつもりはなかった。自分のための練習だった。


 その時は本気で頑張った。全力で一貫性のある世界観を作ろうとした。二百ページ以上も書いて、まるでスティーヴン・キングが乗り移ったかのように、プロの作家になった気分だった。


 ちゃんと書けていたのだろうか? もしかして読み返してみるべきか?


 いや、やめよう。二度と開かないと誓ったんだ。特に今は文章が少しマシになった。十四歳の自分が深遠ぶって書いた文章に向き合いたくなかった。


 とにかく、もっと大事な用事があった。妹を学校まで迎えに行くことだ。簡単な仕事だ。道を渡って、十五分ほど歩いて、迎えに行って、部屋に戻ってまた作家ごっこを続ける。


 何度もやっているから完全に無意識だった。何も考えずに道を渡った。


 そして、耳をつんざくような音だけが聞こえた。


 消えていく光。


 描写は得意じゃないが、あそこで死んだんだと思う。


 ---


 目を開けると、奇妙な部屋にいた。


「奇妙」としか言いようがない。瞬きするたびに壁の質感が変わる。床の半分は大理石で、もう半分は土だ。そして中央には、場違いな玉座があった——大聖堂なのか洞窟なのか決めかねている部屋に、金ぴかで豪華な玉座が。


 玉座の上には人影があったが、照明が酷い。まるでシーンの構図を全く考えずに照明を配置したかのようだ。


 目を細めながら近づいた。


 比類なき美女だった。漆黒の髪が肩に流れ落ちている。完璧な造形、ほとんど非現実的なほどに。思春期の少年が具体的な描写方法を知らずに「美しい」とだけ書くような、典型的な美しさだ。


 突然、彼女が笑った。澄んだ笑い声。


 次の瞬間、表情が真剣になった。冷たく。目を細める。


 その直後、満面の笑みで俺に手を振った。


「ようこそ、我が主よ!」


 何だこの女? まるでチャンネルを切り替え続けている誰かを見ているようだ。


「俺は……何?」なんとか口にした。


「残念ながら……」声が重く、劇的になった。「いや待って。*幸いにも*。ポジティブに。確実に……」目に見えない台本を読んでいるかのように間を置いた。「あなたが私を創造したのです」


 脳がその言葉を処理するのに数秒かかった。


「あなたがあのノートに私を書いた時」彼女は笑顔と眉をひそめる表情を交互に繰り返しながら続けた。「私の名前と『美しい』ということだけを書きました。それだけです。個性は何も与えられませんでした。ただ『目立つ』べきだと。分かりましたか?」


 最後の言葉で鼓膜が破れそうになった。


「創造したって、どういう……ああ、まさか……嘘だろ……」


「あなたが書いた草稿の世界に転生します」今度は単調な声で遮った。「魔王を倒してください。それがあなたの使命です。当時、あなたがそう書いた妄想です」


 胸に恐怖が広がり始めた。


「嘘だろ……俺……魔王を倒す? 女神が主人公と話す? 本当にあからさまにパクったのか、俺は?」


「とはいえ認めざるを得ませんが」そして初めて、彼女の表情が安定した。純粋な軽蔑だった。「オリジナルとは似ても似つきません。この世界は……どうやって成り立っているのかすら分かりません。おめでとうございます、とんでもないクソを創造しましたね」


 褒められたのか侮辱されたのか? 俺は一体何を創造したんだ?


「ここでは私が決めるので」今まで見せなかった威厳のある声で響いた。「あなたはあの世界へ行きます。そして魔王を倒した時のみ、天国へ来られます」


「待ってくれ! せめて何か——!」


 感動的なスピーチはなかった。励ましの言葉もなかった。サバイバルマニュアルすらなかった。


 ただ、突き落とされた。


 落ちていく。


 虚空に飲み込まれながら、一つの考えだけが頭を占めた。


 *何をしたんだ? 何をしたらこんな目に遭うんだ?*


 俺はただ、十四歳で自分を良い作家だと勘違いしていた男でしかなかった。


 あの世界には他にどんな馬鹿げた矛盾があるんだろう。


 ---


 答えを知るまで、そう時間はかからなかった。


 広場の真ん中で目覚めた。体の下には土。頭上には青く輝く空。そして周りには……


 何だこれは?


 宮殿があった。巨大で装飾された宮殿が。金色の塔とステンドグラスが太陽の下で輝いている。建設と維持に何十年もかかるような建造物だ。


 そしてすぐ隣——文字通り宮殿の壁から三メートルの場所に——家があった。普通の家だ。風化した木材でできている。藁葺き屋根は今にも崩れそうだ。好意的に言って「低予算」な住居だ。


 何の移行もない。貴族区も中流階級の地区もない。ただ:馬鹿げたほど豪華な宮殿と、それに寄生虫のようにへばりつく貧しい小屋。


 ゆっくりと立ち上がり、周りを見回した。人々はこれが完全に正常であるかのように歩いている。金色の宮殿が難破船の残骸で組み立てたような家に囲まれているのが、世界で最も自然なことであるかのように。


 何か探そうとした。畑。果樹園。この村がどうやって経済的に生き延びているかの痕跡。


 何もない。


 ただ家と宮殿と、意味もなく蛇行する土の道だけ。


 そして、店のように見える場所に釘で打ち付けられた看板を見つけた。


 **「高品質の革——村唯一の生業」**


 それを見つめながら、冷水を浴びせられたような認識が襲ってきた。


 *「宮殿と普通の家、または低予算の家がある村。」*


 それが俺が書いたものだ。一字一句そのまま。それが俺の物語の最初の居住地の完全な説明だった。


 何で生計を立てているかすら書いていなかった。農業も、商業も、工業も。何もない。だからこの世界——俺の世界——は即興で対処するしかなかった。そしてどうやら、みんなが革を売ることに決めたらしい……なぜなら、なぜダメなんだ?


「おい、お前」声が俺の実存的危機から引き戻した。


 振り向くと、農民の服を着た男が疑わしげに俺を見ていた。使い古されたリネンのチュニック、革のベルト、粗末なブーツ。完全に中世ヨーロッパの外見だ。汚れた金髪、色白の肌、時代劇映画に完璧にフィットする顔立ち。


 そして彼は日本語を話していた。現代の日本語だ。古語でも格式ばった言葉でもなく、俺が友達と話すような日本語だ。


「新入りか? 迷ってるみたいだな」まるで渋谷で時間を尋ねるかのような自然さで言った。


 固まった。脳が理解不能なものを処理しようとするあの瞬間だ。中世ヨーロッパの農民が、コンビニから出てきたばかりのようにカジュアルな日本語を話している。


 *クソ。*


 *俺が書いたんだ。*


 そのことを漠然と思い出した。十四歳の時、ファンタジー世界の言語を作ろうとすらしなかった。他の異世界ものが使う「翻訳魔法」や「言語理解スキル」という典型的な言い訳すら用意しなかった。


 いや、ただ決めたんだ。この世界の全員が日本語を話すと。以上。正当化なし。論理なし。


 楽だったから。主人公がどうやって言語を学ぶかとか、言語体系について考えたくなかったから。


 そして今、その怠惰の代償を払っている。


「ああ……まあ、新入りと言えるかな」まだ状況全体の認知的不協和を処理しながら答えた。


「ふむ」男は俺を上から下まで観察した。「仕事を探してるなら、ここの全員が革業をやってる。それしかないんだ」


「それで……うまくいってるのか? 経済的に」


 まるで空が青いかどうか聞いたかのような顔で俺を見た。


「当たり前だろ。ずっとうまくいってる。なんでうまくいかないんだ?」


 何の意味もないからだ、と叫びたかった。村全体が家畜もいない、なめし工場もない、売る相手もいないのに革を売って生計を立てられるわけがないからだ。


 だが彼は歩き続けた。循環論法に完全に満足して。


 俺は地面に座り込み、目の前の不条理な光景を眺めた。


 金色の宮殿。


 みすぼらしい小屋。


「革」以上の説明のない村の経済。


 完璧な日本語を話す中世ヨーロッパ風の人々。


 そして俺がこの全ての責任者だ。


 これは異世界転生じゃない。これは罰だ。存在しうる最悪の罰だ。


 俺は永遠に燃え続ける地獄には送られなかった。


 俺は自分の凡庸さが現実化した世界で生きるよう送られたんだ。


 *神様……他にどんな馬鹿げたことを書いたんだろう?*

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