冬の街の光や音、人の流れが細かく描かれていて、その中でただ「立ち尽くす」ハルの感覚が、とても鮮明に伝わってきました。風景の描写が多いのに重くならず、むしろ心の温度がじわじわ下がっていく感じが心地よくもありました。「猫の美学」「またね」そんな言葉たちの捉え方、心の動きが、とても人間らしくて切なかったです。「行動」と「停滞」のあいだで揺れる。この揺れごと抱きしめよう、そんなふうに思えました。