第5話 昼休み
次の日の昼休み、チャイムが鳴ると同時に、教室中がざわざわと明るくなった。
お弁当のフタを開ける音、机をくっつける声。
「ねぇ愛華、一緒に食べよ!」
五十嵐優香がニコニコしながら、愛華の机を自分の方へ引き寄せた。
「う、うん」
ちょっと緊張しながらも、愛華はお弁当を取り出す。
そしてふと、前を見ると——
翔太と佐々木圭人が机をくっつけて、楽しそうに話していた。
(……楽しそうだな)
そんなふうに思っていたら、優香がすかさず囁いた。
「ねぇ、今日さ、鈴木さんたちも一緒に食べよっか?」
「えっ!? そ、それは……」
「いいから、行こ行こ!」
気づけば、優香がもう立ち上がっていた。
「鈴木さーん! 一緒にお昼どう?」
翔太が少し驚いたように顔を上げる。
「え? あ、いいけど」
そのまま、4人で机をくっつけることになった。
「佐々木、パンそれ新作?」「そうそう! 昨日コンビニで見つけた!」
圭人の明るい声に場がなごむ。
でも、愛華は緊張で箸が止まったまま。
(な、なんか緊張する……)
そんなとき、翔太がポツリと言った。
「……その卵焼き、うまそうだね」
「えっ……あ、ありがとう」
顔が一気に熱くなる。
「ちょ、翔太、愛華照れてるじゃん〜!」と圭人が笑い、
優香もニヤリと横で小声で言う。
「ふふ、いい感じじゃん」
昼休みの時間が終わる頃。
優香がこっそり耳打ちした。
「ねぇ、放課後ちょっと残っていこ? 展示のポスター作り、先生が手伝い募ってたよ」
「え? でも……」
「チャンスだってば」
放課後の教室で、誰かと過ごす——
そんなこと、今までなかった。
だけど、心の奥で少しだけワクワクしている自分がいた。
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