確かなものは無いように見えるけど、確かにある。

認知症の母と、その手首に残り続けた止まった時計。
派手な言葉や説明を重ねず、淡々とした語りの中に、長い時間を静かに抱えた想いが浮かび上がる一篇だと感じました。
生前は不器用で言葉を持たなかった父と、苦労の多かった母。
その関係にほとんど愛などなかったように見えたけど…
言葉と心とモノ(時計)、確かなものは無いように見えるけど、確かにある。うまく表せないですが、そういう気付きを思い出させてくれるお話でした。