静かな夜道の空気が、そのまま行間に染み込んでいるような短編でした。
足音や吐く息の白さ、信号の光といった細部が丁寧に描かれていて、言葉が少ないぶん、二人のあいだに流れる緊張やためらいが自然に立ち上がってきます。会話が途切れていく過程や、歩幅の微妙なずれに気づく感覚もさりげなく、読んでいるこちらの胸に静かに残りました。
冒頭部分だけでも一つの情景として完成されていて、曲がり角に差し掛かるにつれて空気が変わっていく気配をゆっくり味わえます。
続きはnoteで拝読しましたが、ここまでに描かれている沈黙や違和感が、物語全体を支える土台になっていることが伝わってきます。
静かで冷たい夜の温度が、そのまま余韻として残る作品でした。