第37話 なんだか解放的な気分になった
メイド服を着る俺の目の前に、今、ニタァ~!と笑いながら立っているのは俺の親父、
「ち、違うんだ! 親父! こ、この格好で朗読会をしたのは、文芸部の出し物であって! 俺の意思はだな!」
「好きなもの目覚め着こなした。そして、
「お、親父?」
お、親父が俺を褒めてくれている? 勇一郎が俺を?
「馬鹿息子をそれでも愛想。誇れ! お前は強い!」
「お、親父どうしたんだよ?!」
あ、あの俺を厳しく指導する事で
「……俺の愛する息子から出ていってもらおうか。特集呪物とやら。去れ! この
親父が右手を俺の
(………………)
「ふんっ! ゆーちゃんの身体が固すぎて、
お、親父が普通の技を遣った?
「うお?! 揺れて……いや、違う?! これは親父が真脚をした事で旧校舎全体が揺れているのか?!」
「ふん! このままでは、壊れてしまうか……建宮式固定術『スクルノッキング』」
「と、止まった?! 今度は親父が起こした真脚が止まった! すげえな親父」
「当たり前だぜ! ゆーちゃん。それじゃあな! ゆーちゃんに付いていた悪い虫やら、この旧校舎ってヤツに住み着いてたのは消し飛ばしちまったからよう! ちゃんと文化祭を楽しめよ。馬鹿息子よう!……ちゃんと誰かは選んでやれよ」
「……あ……はい!」
「ふん!……ママ~! ゆーちゃん。可愛いかったんだぜ~!」
「……アナタって本当に親バカよね。ゆー君。あんまりお馬鹿事しちゃ駄目よ。黒歴史になっちゃうんだからね~!」
母さんと親父はそう告げると。何事も無かったかの様に、グラウンドの出店へと向かって行った。
◇
その後、メイド服を着たい衝動は突然、消え。急いで制服に着替え直した。
秋月部長から貰ったメイド服は今日、家に帰ったら着心地を確かめる為に必ず着るけどな。
「建宮っちのパパ。マジでユウジロウみたいだったし。化物なん?」
「ん? 何を言ってんだ。七宮、俺の親父の名前は
「……建宮っち。ファザコンなん? 以外なんですけど」
「誰がファザコンだ。俺は家族愛が強いだけだ。普通の家庭の家族よりもな」
「へ~! 建宮っちは良い旦那さんになりそうな感じ……かと思ったけど。建宮っちは優柔不断だから、そもそも彼女できるか不安だし」
「なんだとアホ宮。なんでそこまでの事を七宮に心配されないといけないんだっての」
「ん〜? そりゃあ。ウチは将来的に建宮っちと子作りする予定だし。そりゃあ、建宮っちとの将来の事とかちゃんと考えるっしょ」
コイツは本当に冗談なのか本気なのか言ってる事が、分からなくなるんだよな。まぁ、この雰囲気からしていつもの冗談……だよな?
「……そうか。それよりも。これからどうするか? 文芸部の朗読会は午前中で終わりなんだよな?」
「そうそう〜! 後は展示物みたいな特級呪物を飾って……痛ぁ?! な、なんでいきなりチョップするし? 建宮っち!」
「冗談でもそういうの止めろよな。お前が言うとまた俺が変な感じになるかもしれんだろう」
「は、はぁ〜?!だし。そんなのなるわけ……メイド服の件もあるから何ともいえんばいし」
「おい。言葉が詰まって変な方言みたいになってるぞ」
「ヤバし~?! マジ?」
「マジ……しかし午後からは、クラスの演劇をまた見に行くだけだし暇になったな。七宮、暇だし一緒に昼飯でも行くか」
「……マジ?」
……七宮のヤツ。顔を赤らめて変な反応してるけど。大丈夫なのか?
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