第2話 超常教育課:村山技官の記録
文教労務省は旧文部省と旧労働省が合併してできた省だ。その中の大臣官房 超常教育課は特別内部部局に指定されており、省内や省外局にすら影響力を及ぼすオカルトの司令塔だ。
盛岡市連続児童失踪事件。そう呼ばれ始めた事件は児童の失踪と教育との接点の調査から俺は派遣された。
「超常教育課 二係所属の
ここは岩手県盛岡市。市役所内に設けられた対策室にて内政省 超常公安局から派遣されてきた人物と自己紹介しあっていた。
「ご丁寧にどうも。超常公安局 自治公安部の
超常公安局。内政省の特別内部部局であり、地方行政への積極的介入を行う省でもある。自治公安部ということは、地方行政への調査なのだろうか。正直、内政省は様々な業務を内包しているため、部署名だけではわからない。内政省とはそういう省だ。
そんな俺たちに近づいてくる人物がいる。
「
「
「こちら、観測機器の結果です。神秘的エネルギー……というか神力が検出されていまして、事件の裏には神が存在しているのでは、という結論が出ています」
神。大きな存在が出てきた。これは衝撃的だ。
俺は一応持ってきていた資料を念の為提出する。
「実は失踪した児童の記録を持ってきました。家庭・友人・教育現場などから収集しています。失踪者に共通点があるのか、それを調べていました」
封筒から紙束を取り出して配る。失踪者の名簿とそれに関係するアンケートをとじた資料だ。
「そしてある結論に至りました。失踪者はある程度、安心領域が形成されにくい生活背景があることが判明しています」
「つまり?」
ここで天春が聞いてくる。圧すら感じる。彼としては面白くないのだろう。内政省としてはこれを契機に介入したいのだろうか?
「先程の話と併せて、神なる存在が失踪者を保護しているのではないか、という結論に至りました」
「つまり、神隠しですか」
白石がそう答える。一瞬空気が止まった気がした。神隠し……一応俺の結論と同じだ。元々、異常存在が保護、または回収しているのでは? っと思っていた。
「しかし、保護とはいいますが、それは失踪者たちに対する適切な処置でしょうか。神なる存在は基本身勝手です。保護とは言いますが、人的資源として回収している可能性すらあります」
内政省の天春らしい発言だ。確かにそうだ。大切に保護されているっというのは俺の希望的観測に過ぎない。
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