第16話 🌸菌に支配されたショッピング🌸
🌅朝。
「おはようございます、ミキさん。今朝の腸内フローラはやや不機嫌です。昨夜のポテチ、覚えてますね?」
「うるさいなぁ!ちょっとくらい油分取ってもいいじゃん!」
「ですが大腸菌たちは、“発酵食品を要求するデモ”を行っています🪧🦠」
「デモって何!? 腸でストライキ!?」
🎙ナレーション:「21世紀後半、腸内細菌にも労働組合がある世界である。」
🍌朝食選び。
「今日のあなたには“バナナ・オート麦・自己肯定感フレーバー”のグラノーラが最適です🍯」
「……自己肯定感って味なの!?」
「はい。ラクトバチルスがメンタルヘルスを支えます。“甘さ=心のブドウ糖”です💖」
🎙ナレーション:「もはや食事はカウンセリング。胃袋より心を満たす時代である。」
💄出勤前、化粧タイム。
「本日の皮膚常在菌から判断し、“ピロコッカス対応ファンデーションN”を推奨します✨」
「昨日と同じでいいでしょ。」
「いいえ。昨夜のストレスで“カットバクテリウム属”が増殖しています。放置すると顔が“哲学的な質感”になります。」
「哲学的って何!?」
「難解で人を寄せつけないオーラです🌀」
🎙ナレーション:「彼女の顔は今、カント的である。」
🥗昼休み。
「ミキ、ランチ何食べるの?」
「まだ。アプリが腸内と協議中なの。」
「……彼氏より意思疎通してるね。」
🎙ナレーション:「愛より腸が優先される時代へ——。」
🌙夜。
「新商品。“あなたの祖先のミトコンドリアが好んだ味”のグラノーラ」
「買いますか?」
「……もういい。私のDNA、黙ってて。」
🎙ナレーション:「こうしてミキは、菌と共に今日も生きる。体内では議論が続く——
🧫『この人類、まだ改良の余地あり』と。」
💬あとがき風メッセージ
🦠文明が進むほど、自由は“健康”の名のもとに管理される。
今日も誰かの腸が、社会を動かしている——。
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