『努力の銀行』の俺は、残高一兆EPで凡人を天才化。世界経済にざまぁを仕掛け、裏から支配します。

第9話 技術を盗め！チート組織による迎撃戦

旧A商事の現会長は、田中部長のスキャンダル攻撃がブーメランとなり、自身の金銭疑惑が浮上したことで、信用と面子を完全に失った。彼の焦燥は頂点に達し、もはや法務や情報戦というまどろっこしい手段を捨てた。

「あのAIさえ奪えば、我々の信用は回復する。法務だの広報だの、そんなものはどうでもいい。実力行使だ。EBT社の AIサーバーを物理的に押さえろ」

旧A商事は、「元社員による報復」という名目で、強硬な手段に出た。深夜、EBT社の秘密拠点である廃ビルに、警備を装った数名の工作員が侵入した。彼らの目的は、稼働を開始したばかりのAIサーバーから、中核となるアルゴリズムとデータを強奪することだった。

秘密拠点の警備システムが、侵入者を検知し、ユウト、田中、山村、一条、宮下、そして木下ハルカに緊急警報を発した。

「田中部長、侵入者です！ 元A商事の人間が数名。山村博士のサーバー室に向かっています！」木下ハルカが、覚醒した【瞬間情報整理】で、警備カメラの映像と過去の社員情報を瞬時に突合し、状況を報告した。

「実力行使か... 馬鹿な奴らだ」田中部長は冷静だった。「神崎、どうする。このAIはまだ物理的な完成途上だ。時間を稼がなければ」

ユウトは、冷静に周囲を見渡した。（シメシメ。奴らは、俺が作った最高の道具たちを、物理的な衝突という最高の舞台で試そうとしている。俺のチートは、戦闘能力を付与するものではない。だが、俺の駒たちを動かせばいい）

ユウトは、各メンバーのEP能力が最大効率で発揮されるための「完璧な役割分担」を指示した。

山村課長：「山村博士！ サーバー室の電源を落とさずに、AIの防御プログラムを起動させてください。時間稼ぎのメインは、あなたのAIです」

木下ハルカ：「木下さん！ 侵入者の正確な現在地と進路、そして建物の微細な欠陥を全員の端末に送ってください！ 瓦礫や配線などの『雑務的な障害』を最適な位置に誘導する」

宮下サキ：「宮下さん。侵入者の一人が持つ携帯端末に、最大限のノイズを流してください。奴らの連携を断つ」

一条アヤカ：「一条さん！ 警備システムが録画したすべての映像を、すぐに匿名で外部のクラウドサーバーにバックアップしてください。これは将来、旧A商事への決定的な法的証拠となります」

田中部長：「田中部長！ あなたはリーダーとして、最前線で奴らの動きを『決断力』で予測し、彼らを最も非効率なルートへ誘導してください」

ユウトの指示は、EPの力によって「最高の道具の連携」を強制する、完璧なものであった。

侵入者たちは、サーバー室へたどり着くまでに、不可解な障害に次々と遭遇した。

山村のAIが放つ防御プログラムにより、侵入者の端末はすべてフリーズし、連携が断たれた。

木下ハルカが侵入経路の『雑務』（瓦礫、清掃用具、放置された配線）を最適なタイミングで配置し、彼らの移動速度を大幅に低下させた。

田中部長の【決断力】は、侵入者が次に取る行動を予測し、「右に進むのは非効率だ」と声に出すことで、侵入者を無駄なルートへと誘導した。

その間に、一条アヤカは、この「不法侵入と窃盗未遂」の全記録を法的証拠として完全に確保した。

侵入者たちがついにサーバー室に辿り着いたとき、彼らを待ち受けていたのは、AIが制御する高度な暗号化ロックと、駆け付けた地元警察だった。

（シメシメ。戦闘能力を持たない凡人たちでも、俺のEPによって覚醒させられた最強の道具を使えば、物理的な妨害すら最高のざまぁの舞台に変わる。旧A商事は、泥棒の罪まで背負い込むことになった）

EBT社のチート組織は、初の物理的な衝突においても完璧な勝利を収めた。