第17話:その日の夜に家で勉強をしていると

 その日の夜。自宅にて。


「おぉ、この参考書……マジでわかりやすいな!」


 俺はテーブルに座りながら委員長に借りた参考書を開いていき、一年の頃の授業内容の復習を始めていった。


 委員長が言ってた通り、この参考書は基礎を懇切丁寧にしっかりと解説してくれている。今の俺にとって一番必要な参考書だと言える程の神アイテムだった。


 これは個人的に絶対に手元に残しておきたいと思うレベルの参考書なので、近い内に本屋で買ってこよう。そしてこんな素晴らしい参考書がある事を教えてくれた委員長にはまた後日改めて感謝の言葉を伝えなきゃだな。


 という事でそんな委員長への感謝の気持ちを持っていきながらも、それからもしばらくの間は集中して勉強を続けていった。


 そしてそんな猛勉強をしてからしばらくして。


「……ふぅ。集中してたら結構時間が経ってたな。かなり勉強も捗ったし、今日の所はこれくらいで終わりにしておこうかな」


 俺は壁に掛けてる時計を確認してみると、勉強を始めてから二時間近くが経過していた。わかりやすい参考書のおかげでかなり集中して勉強が出来たようだ。


 でもこんなにも集中して勉強をしたのはかなり久々だったので、だいぶ疲れも出て来てしまっていた。


 だから今日の勉強はこれくらいで終わりにして、ここからはテレビでも見ながらまったりと自分の時間を過ごす事に決めた。


「よし、それじゃあ今の時間帯ならバラエティ番組がやってるはずだから、それを見ながら今日はまったりと過ごすか……って、うん?」


―― ピコン♪


 そう呟いた時、俺のスマホから通知音が鳴った。


 誰かからメッセージが届いたようだ。まぁでもこんな夜の時間帯に俺にメッセージを送ってくる相手は一人しかいない。それはもちろん……。


『お疲れさま』


 スマホを開いてみると、そんな短文のメッセージが届いていた。送り主はもちろん予想してた通り前島からだった。


 少し前に前島とLIMEの連絡先を交換してから、前島とはちょくちょくメッセージを送り合う仲になっていた。いつも他愛無い話ばかりをメッセージで送り合っている。


『お疲れっす。前島はバイト終わりか?』

『そうよ。今は家に帰る電車の中よ。最寄り駅に着くまで暇だからこのままメッセージ送っても良い? 話し相手になって欲しいんだけど』

『バイトお疲れ。俺も暇だからメッセージ送ってくれて全然良いぞ』

『ありがと。それじゃあ大神は今まで何してたの?』

『ずっと家で勉強してた』

『へぇ、凄いじゃん。大神も今まで勉強お疲れさま』

『おう。ありがとう。あ、そうだ。そういえば前に教えて貰ったドラマをレンタルショップで借りてきた。まだ1話しか見てないけどめっちゃ面白い!』

『え、本当? もう見始めてくれたんだ? それ毎話ずつ面白いシーン更新され続けていくから楽しみにしてなさいよ』

『へぇ、そうなんだ? それは楽しみだな。それじゃあ全話見終わったらまた前島に感想を伝えさせて貰うよ』

『りょーかい。大神が全話見終わるのを楽しみにしてるわ。あ、そろそろ最寄り駅に着くからスマホしまうわ。暇つぶしに付き合ってくれてありがと。またね』

『わかった。それじゃあまたな』


 という事で今夜も前島とは、そんな他愛無い話をメッセージのやり取りをしていった。


 一番最初に前島とLIMEで交流を始めた時は、スクールカースト最上位の美人ギャルという事もあってかなり身構えてしまった覚えがあるんだけど、でも今ではそんな身構えてた俺の面影は一切ない。


 何で身構えなくなったかというと、今のやり取りを見て貰ったらわかると思うんだけど、前島ってかなりフランクに接してきてくれるんだ。それにメッセージ内容も女子高生っぽい感じでキラキラに着飾ったりしてこないし、淡々としたテンションで話をしてきてくれるんだ。


 本当は高校生ではなくアラサー社会人(社畜)な俺にとってはそのフランクな感じかつ、淡々とした感じのやり取りが純粋にとても心地よく感じていて、俺は全然気負ったり身構えたりする事なく、前島とのメッセージのやり取りを楽しめるようになっていた。


「いやー、それにしても前島とこうやって話をし合う仲になるなんて不思議な気分だよなぁ」


 前島は学校ではスクールカースト最上位の友達集団と常に絡んでいるから、俺は学校では前島と喋る機会なんて全然ないんだけど、でもこうやってLIMEだけでも前島と交流し合う関係になるなんて何だかとても不思議な気分だ。


 というかスクールカースト最上位の美人ギャルとメッセージのやり取りをするようになったなんてさ……こんなのタイムスリップ前の引きこもってた高校時代の俺が知ったら、きっと物凄くビックリとするだろうな。

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