第16話:委員長に缶ジュースを奢っていく
「……あぁ、なるほど! そうやって解くのか! ありがとう委員長! 今ので完璧に理解出来たよ! 物凄くわかりやすかった!」
委員長の丁寧な解説によって俺は問題の解き方をようやく理解する事が出来た。
俺は嬉しくなって、テンションを上げながら委員長にしっかりと感謝の言葉を伝えていった。
「ふふ、それなら良かった。そんなにも喜んで貰えるのなら私も教えてあげた甲斐があったというものだよ。だけど大神君と話していた感じだと、どうやら数学以外にも困ってる科目がありそうな感じだよね?」
「あ、あぁ、そうだな。物理とか化学とかの理系科目も全部ヤバい気がしてるんだ。俺は一年生の頃に引きこもってたせいで、一年の授業内容をほぼ全て忘れちゃってるしな。だから二年の授業に付いていけなくて困ってるんだよ。まぁでもそれは自分が引きこもってたせいだから自業自得ではあるんだけどさ、あはは。はぁ……」
「なるほど。一年生の頃の授業内容をほぼ全て忘れてしまっているんだね。でもそういう事なら今の大神君にピッタリのものがあるよ。ちょっとだけ待ってて貰えるかな?」
「え? あぁ、わかったけど?」
そう言って委員長は席を立って教室の後ろに置かれている個人ロッカーに向かった。体操着とか運動靴とか教科書とかを入れておくための個人ロッカーだ。
「えぇっと、確かこのロッカーの中に……お、あったあった! よし、それじゃあ大神君にはこれを貸してあげるよ」
「え?」
―― ドサッ!
そう言って委員長は個人ロッカーから数冊の本を取り出してきて、それを俺の机にドサっと置いてきた。
「え、えぇっと、この本は一体?」
「これは私が一年生の頃に愛用していた数学と物理と化学の参考書だよ。初歩的な基礎を優しく丁寧に解説してくれてる参考書だから今の君にピッタリの本だと思うよ。だからこれらの参考書を全部君に貸してあげるよ」
「え……えぇっ!? そ、そんな俺にピッタリな参考書を持ってるのか!? でも個人ロッカーに入れてたって事は委員長は今でもこれらの参考書を使ってたんじゃないのか? そ、そんな本を借りちゃっても本当にいいのか?」
「うん。もちろん。君は頑張って勉強をしたいって思ってるんでしょ? それなら私もその君の頑張りに手助けしたいって思うのは当然だよ。だから是非ともこの参考書を君の勉強に役立てて欲しいな」
委員長は優しく微笑みながらそう言って俺に理数系の参考書を貸してくれた。こ、こんなにも今の俺に役立つ神アイテムを貸してくれるなんて……神様過ぎるよ!
「あ、ありがとう、委員長! 本当にすっごく助かるよ! だけどこれはもう絶対に感謝の言葉だけじゃ駄目だよな……よし、それじゃあ委員長! 今から感謝の気持ちとして委員長にジュースを奢らせてくれよ!」
「え? 大神君が私にジュースを奢ってくれるの?」
「あぁ、校庭にある自販機で何でも好きなジュースを奢ってあげるよ。わからない数学の問題を教えてくれて、さらにこんな貴重な参考書まで貸してくれるなんて、これはもうしっかりと感謝の気持ちを形にして委員長に贈らせて欲しいんだ」
「ふふ、そっかそっか。まぁ私としては大した事はしてないつもりだから全然気にしなくて良いんだけど……でもそうだね。大神君がそこまで言ってくれるのなら、それじゃあ御言葉に甘えて君にジュースを奢って貰う事にしようかな?」
「あぁ、わかった。それじゃあ今から一緒に自販機に向かおう!」
「うん、わかったよ」
という事で俺達は一緒に教室から出ていき、そして校庭の方にある自販機へと向かった。
◇◇◇◇
それから数分後。
校庭にある自販機前に到着したので、俺はすぐに財布を取り出して二人分の缶ジュースを購入した。ちなみに委員長にはミルクセーキを、俺はブラックの缶コーヒーを購入した。
そしてそのまま自販機の近くに置かれてるベンチに座り、そこで委員長と一緒に缶ジュースを飲み始めていった。
「んく、んく……ぷはぁ。うん、やっぱり美味しいなぁ、ここのミルクセーキは。ふふ、改めてジュースを奢ってくれてありがとう。大神君」
委員長はミルクセーキをゴクゴクと美味しそうに飲みながら、改めて俺に感謝の言葉を送ってきてくれた。
「いやいや。俺の方こそ勉強を教えてくれてありがとうだよ。それにしても委員長ってその会社のミルクセーキが好きなんだな。俺はそのミルクセーキを一度も飲んだ事ないんだけど、確かその会社のミルクセーキって結構甘いって有名の飲み物なんだよな?」
「うん。そうだよ。ここのミルクセーキはすっごく甘くて濃厚で美味しいんだよ。私は大の甘党だからこのミルクセーキが子供の頃から大好きなんだ。それに普段勉強し過ぎて疲れちゃった時にも、このミルクセーキを飲むと凄くリラックスが出来るんだよ。だから私にとっては生活必需品みたいな感じの飲み物なんだよね」
「あぁ、なるほど。確かに頭をフル回転させた後は糖分がめっちゃ欲しくなるもんな。その気持ちは凄くわかるなぁ」
俺も社会人だった頃はしょっちゅう深夜まで残業をしてたけど、そんな深夜の残業がある度に俺はチョコとかグミとか甘いものを大量に食べながらパソコン仕事してたもんな。
だから全国模試で二桁を取るために毎日沢山勉強をしている委員長が、とても激甘だという評判のこのミルクセーキを好んで飲んでいるのは納得した。
「うん、そうなんだよ。だけど甘党な分、私は苦いのが凄く苦手なんだよね……だから大神君が今飲んでるブラックの缶コーヒーとかは凄く苦手なんだよ……」
「へぇ、そうなんだ? それはちょっと意外だな。委員長って大人っぽいし、コーヒーとか余裕でブラックを飲んでそうなイメージがあったんだけどな」
「あはは。私は全然大人っぽくなんてないよー。私は甘いものが大好きなどこにでもいる普通の女子高生だよ。でもそれを言うなら大神君こそブラックの缶コーヒーを飲めるなんて凄く大人だね。正直な話、私はブラックとか関係なくコーヒー自体ちょっと苦手だと思っちゃってるんだけど……でもやっぱり普段から飲んでる人にとってはコーヒーは凄く美味しいと感じる飲み物なのかな?」
委員長は俺の飲んでる缶コーヒーを見つめながらそんな事を尋ねてきた。コーヒーが美味しいかどうか。そんなのはもちろん……。
「んー。そうだなぁ……まぁぶっちゃけ俺もコーヒーの味についてはそんなわかってないんだ。俺も委員長と同じでコーヒーは黒くて苦い汁だなーって思う事も多々あるしな」
「え? そ、そうなの?」
「あぁ、そうなんだ。でもなんかコーヒーを飲むと目がシャキっとするというか、血液が巡ってる感じがするというか、車で言うところのガス欠状態にガソリンを給油した感じになるというか、まぁ例えが下手だけど、そんな感じがする不思議な飲み物なんだ。だからガス欠状態の身体を動かすためについついコーヒーを買っちゃうって感じかな」
「なるほどなるほど。ガス欠状態の身体にガソリンを給油する感じかぁ……ふふ、何だか面白い表現の仕方だね。でも大神君の話を聞いてみたら、私もちょっとコーヒーを飲んでみたくなってきたよ」
「お、そうか? それじゃあ自販機のあそこにある白色ラベルの缶コーヒーはミルクと砂糖が結構多めに入ってるタイプのミルクコーヒーだから、苦いのが苦手な委員長でもマイルド味で飲みやすいと思うよ。だから良かったら今度コーヒーを飲んでみたい時にはあの缶コーヒーを試してみてくれよ」
「ほうほう、そんな缶コーヒーもあるんだね。うん、ありがとう大神君。それじゃあ今度あのミルクコーヒーを買ってみる事にするよ。それで飲んでみたら大神君にすぐに感想を伝えるね」
「それは楽しみにしてるよ。それじゃあせっかくの機会だから、今度俺も委員長の好きなミルクセーキを飲んでみようかな。それで俺もミルクセーキを飲んでみたら委員長に味の感想を伝えるよ」
「おぉ、私の大好きなミルクセーキを大神君も初挑戦してくれるなんて嬉しいな! ふふ、うん、わかったよ。それじゃあ大神君がミルクセーキを飲んでみて、その感想を私に伝えに来てくれる日を楽しみにしているよ」
「あぁ、わかった」
という事でこうして俺達はお互いの好きな飲み物を飲んで感想を伝え合うという、何だか不思議な約束を交わしていった。
そしてその後も俺達はベンチに座って飲み物を飲みながら、まったりと雑談をしながら放課後を過ごしていった。
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