あなたの愛に包まれて

あおい

第1話



「静玖、俺の女になれよ。」



そう言い抱きしめてきた彼からは香水の香りと微かに煙草の匂いがした…


激甘な愛に包まれた私はもう彼からは逃れられない…




***



梅雨も終わり、じわじわと夏を感じ始める季節。


そんな季節に私はあろうことか風邪をひいていた。高校を卒業したと同時に都会に出てきて既に3年目。これまで別に風邪をひいたこともなく元気に過ごして来ていたがそれもここまでだったようだ。



ピピピッ


音がなり体温計を確認すると38度1分。


『ゴホッ完全にやらかした。』


体温計を持った腕を顔の上に下ろす。体温を見ると今まで以上に身体がしんどくなり始める。


このまま寝て過ごしたいけど、そういう訳にも行かない。これまで風邪をひかなかったお陰で家に薬が1つもないのに加えて、病人が食べれる食料もある筈もなく…。

ここで死なない為にも身体に鞭打ってでも家を出るしかないのだ。

親や友達に頼めたら良かったけど、田舎出身で大学3年生にして友達が1人もいない私は頼める人間なんていなかった。







『…保険証と財布と〜鍵あればどうにかなるよね。』


熱があることを確認してすぐに病院に電話したら今から来ても大丈夫と言われたので、少しぼーっとする頭でスウェットに着替えてきちんとマスクをして家を出る。


家から歩いて10分ほどの病院なので、節約の為にも歩いて向かった。









****


7話完結の短編小説になります。

毎日12時投稿です。ぜひご覧ください!!


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