日本ならではの物語

冒頭の田舎の描写で、一気に世界の世界に入り込むような印象を受けました。

麦茶の音、蝉の声、夏の空気の聞こえるようで、聞こえない音、それぞれの音が聞こえてきそうな、そんな素敵な描写です。


また、白いカブトムシという幻想的で希少なモチーフがすごく素敵ですよね。

羽化したばかりの白いカブトムシなのですが、それがお盆の時期にやってくるあたりに、意味をどうしても見出してしまいそうになります。

おそらく作者様はそこを意図されたと思います。不遜ですが、現実と不思議の境目を絶妙に揺らしながら物語を進めるあたり、上手だなぁと思ってしまいます。


コウイチの登場と消失の流れはまさに映画のワンシーンのようで、仏壇の写真とつながる瞬間は、はっとさせられました。


駆とパパの心がそっと近づく描写も温かく、お盆と言う日本の原風景だなぁと感じます。

不思議な印象の物語です。

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