3.3 怒りの質量変換
大山は、意を決してムラカミに近づいた。ムラカミはちょうど、部下の提出した企画書をビリビリに破り捨てているところだった。
「お前、わかってないのか!俺の期待がどれほど重いか!」ムラカミの叫び声が響く。
「あの! ムラカミさん!」大山は声を張り上げた。
「私、**『研究協力』**をお願いしたいのですが!」
ムラカミは、赤く腫れ上がった顔で大山を睨んだ。
「なんだお前は! どこかの会社の営業か! 今、俺は**『怒りの臨界点』**にいるんだぞ! さっさと失せろ!」
「そう! その**『怒りの臨界点』が、我々の『実験に最適な条件』**です!」
大山はアカリの言葉を思い出し、一か八か、ムラカミの手を掴み、オコリン棒を無理やり握らせた。
「これは、**『あなたの怒りを無にする棒』です! 握って、『あなた、実は5グラムでしょ!!!』**と心の底で叫んでください!」
ムラカミは、棒を握らされた瞬間にフリーズした。
そして、オコリン棒から**「ジジジ…」という低いモーター音が聞こえ始めると同時に、ムラカミの顔からみるみるうちに血の気が引いていく**のが見えた。彼の全身から、怒りのエネルギーが吸い取られていくようだった。
ムラカミは、棒を握りしめたまま、かすれた声で呟いた。
「…俺の、**『怒りの重み』**が… 消えていく…」
彼は、まるで糸が切れた人形のように、その場に崩れ落ちた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます