2.3 花粉症の重み
「花粉症だな。しかも重度の」大山は言った。
「違うわ。彼は今、**『環境という名の、目に見えない敵』に、『自己の物理的質量』を攻撃されているの。これこそ、『困っている人』**の定義よ」
アカリは、大山の背中を押した。
「大山。『アンシン丸』の**『被験者選定』は、貴方の役割よ。行って、『彼を救済しなさい』**」
大山は渋々、その男性――ヤマダさんに近づいた。
「あの… 大変そうですね。もしかして、花粉症ですか?」
ヤマダさんは、マスク越しに涙目になりながら頷いた。
「ええ…もう何年も。特に今年はひどくて。もう、自分の身体が重すぎて、朝起きるのすら億劫で…」
「重すぎる」。その言葉に、大山とアカリは顔を見合わせた。ヤマダさんの言う「重さ」は、まさにアカリの言う**「偽の重力」**の一種に違いない。
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