関係者への取材
…はじめまして。曽慶
ええ、今は曽慶家の当主をやっております。我が曽慶家は、かつて元木田家の一部でございました。明治中頃に分家しまして。
はい、はい。
左様です。初代は曽慶昌といいまして、元木田公信の三男でありました。独立してからも、元木田家とは密接に関わりがございます。
まぁ、本流と分流じゃあまるで違いますから。
関わり方?今は畑をお互い手伝ったりしておりますね。
昔?昔はよく分かりませんね。ただ奉公のような主従関係のようなものがあったとは聞き及んでおります。
えぇ、えぇ。
例えばと聞かれてもですね。知らないものは知らないんです。書物を見れば、あるいは私の父に訊けば分かるかもしれませんが。
とんでもない。祖父は寝たきりで、昔話なんてできませんよ。忘れてて。
えぇ、えぇ。もちろん。知っておりますとも。
矢口さんのとこの、はい。博通さんがいなくなったって聞きました。
えっ?
いや、本当に知らないですよ。
有り得ませんよ。曽慶家としてそんな、犯罪ですよ。恨みを持っていたとしてもですね、そこまでは。
……。なかったと言ったら嘘でしょうな。ちょっと、麗奈。来なさい。
私の書斎の机の上だ。持って来てくれ。
そうだ。
これが曽慶家の歴代当主の日記になります。
どうぞ、はい。
狩猟記録?何のことです。
書いてある?どこに。
昭和中頃の話なんて聞かれても分かりませんわ。種にすらなってないんですよ。
これが根拠だと、そう仰る。そうですか。くだらない。
元山さんに言っても無駄ですよ。元はと言えば…。
……。麗奈、席を外してくれ。
そうだ。
で…。何を望むんです。
あれは我々の手に負えないものです。だから正治さんに戻したと聞いていますが。
勘弁してくださいよ。祖父まででこの話は決着しているはずなんですから。
えぇ、えぇ。
……。矢口家の今後、ですか。
後見人にはなりましょう。あの屋敷の始末もしなければなりませんから。
……カモシカ?
どこです。
そこですか?
あっ、本当ですね。…変ですね。
ここにも、ですか。
次は我々の番だと。抜かりありませんな、獣のくせに。
貶めた側にも相応の報いを、ですか。
祖父を怨みますよ。ははっ。
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