【接吻】
「次期里長ともあろう人が。誰かにバレては示しがつかないのでは?」
声は震えていないだろうか
いつも通りに話せているだろうか
変わらぬように意識できているだろうか
不安が押し寄せる。
それと同時に
どこかで期待している自分がいる。
何を期待することがあるのか
わざわざ来てくれた相手へ
浅ましい思いを向けて
勝手に期待しているなんて
「バレていたらその時だ。浅ましいだろう?」
ああなんて…
なんて簡単に
どうしてこんなにも簡単に
私の全てを乱すのか…。
「っ…貴方という人は…。姉さんが悲しむ…」
卑怯な方法だ。
最愛の姉を
「逃げ」の口実に使うなど
「香澄…か…。今は桔梗と話したいだけさ」
また易々と
こんなにもこんなにも
我慢しているのに
掻き乱される…。
「呆れますね…そうやってまた貴方…は…っ…」
不意打ちだった
本当に
意図していなかった。
言葉が出なかった…。
拒否できなかった…。
思考が止まる
世界が止まる
それもその筈だ
私の唇は
あの人の唇に塞がれていたのだから…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます