2話目 1月10日

―その通知が表示されたことを確認する。

いつもの配信の時間。スマートフォンから覗く、至福のひと時。

画面に映った、少し煽るような無邪気さも、素直に楽しむ笑い声も、

全部全部、愛しくて、

今日も絶好調な貴方に

「愛してる」

その言葉を今日も彼に、赤い気持ちと共に投げるのよ。

私の事、気づいてくれるかな。

貴方に、届いてほしいな。



1月10日

彼のお家で、まったりとお家デートの日♡

実はね、彼は有名配信者なの!

だから会う時は、どちらかのお家で過ごすことがほとんど。

(この間の初詣は例外よ!)

お出かけなんて、そんなに出来ないけれども、

彼と過ごせるこの二人きりの時間が、私にとっても幸せなの。

何をしようかなんて、そんな他愛無い話をしながら

今日は彼が気になっていた映画を観たいと、提案されたのは、

私が少し苦手な、冬に見るには少し季節外れのホラー映画。

「俺がいるから、平気でしょ?」

そう、少し意地悪な笑みを浮かべてくるんだから、本当にずるいよね?

そんな事言われれば、断ることなんてできないじゃない!

私の赤くなった顔をみて、彼はしてやったりと、また眩しい笑顔を見せるの。


ホラー映画というだけあって、背筋が凍るようなシーンや

驚かせるようなシーンが沢山映っていたんだけどね、

そのたびに身体が震えると、彼は何も言わず、静かに寄り添ってくれたの。

意地悪なんだか、優しいのか、

もう、映画の内容なんて入ってこなくて、私の視線は貴方ばかり。


そうそう。

映画が終わった後、

「待っててね」って言われたんだけど、

彼ったら、そのまま私のために料理を作ってくれたんだ!

とっても手際がよくて、まな板の上で食材が踊るように細かく切れていく様は、ずーっと目が離せなかったわ。

普段料理なんかしている時間なんてないはずなのに、

何でも出来ちゃうなんて、私の大好きな彼に欠点なんて、あるのかしら?

目の前に置かれた料理は、お店に出てくる高級料理のようで、

私の好みの味付けに「どうして分かったの?」って聞きたくなるくらい美味しかったの。彼は私のこと、何でも知ってるのね。嬉しくなっちゃうわ。

そしたらつい、顔が綻んじゃって、

それを見た彼は満足げな顔をして、私を見つめていたの。

いつも私を喜ばせてくれる、愛しい彼。

今度は私が、彼にご馳走をしてあげよう。楽しみだな。



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