那古山「式部夢山道」~木霊に会えるかも

元にした。散歩エッセイです。



健康維持のために週に1~2回通っていた、お気に入りの散歩道があります。千葉県館山市の那古山にある「式部夢山道」です。昔のことなので記憶があいまいな部分もありますが、そこは木々の息吹と美しい眺望に出会える、魅力的な場所でした。


散歩は那古寺の駐車場から始まります。那古寺へ向かい、多宝塔と観音堂の間を通り抜けて「式部夢山道」へ。やがて丁字路にぶつかるので、左へ曲がると潮音台展望台に到着します。ここからは、穏やかな海・鏡ケ浦の絶景を望むことができ、季節と天気が良ければ富士山も見えます。


展望台を後にし、来た道を戻って那古山の頂上へ。森の中を進むこの道は、遊歩道の上を木々の枝が覆い、まるで緑のトンネルのよう。空と枝と葉が織りなすコラージュを眺めながら歩くのが、とても楽しい時間でした。桜の季節には、薄いピンクの花が鮮やかなアクセントとなり、ひときわ美しい景色を楽しめます。道の左側には、すらりとした立ち姿から「美人な木」と私が勝手に名付けた、お気に入りの一本があったはずです。


さらに進むと、木材で土留めされた階段の先に「飯縄権現」が現れます。山頂はもうすぐ。1月末の早朝には、群生した水仙の花が朝日に照らされ、輝く姿を見られることもありました。


山頂を越えると、下り。少し進んだところに、鴨居のように横へ伸びた枝があり、その上に、まるで鳥の止まり木のように、とても繊細な立枝が並んでいます。

ここには、まるで小さなシマエナガのように、木霊(こだま)が並んでいる気がします。

じっと耳を澄ませば、森の精霊たちのささやきが聞こえてきそうです。


この近くの右側に、森の木々が窓のようにぽっかりと空いた場所があり、そこから眺める鏡ケ浦はまるで額縁に収まった絵画のようです。


やがて道は終盤に差しかかり、つづら折りの下り坂に。周囲には竹が増え、まるで京都・嵐山の竹林のような雰囲気に。(だいぶ、脚色がすぎるのですが…)道は民家の間を抜け、駐車場へと戻ります。




※訪問を検討される方へ

私が通っていた頃から時は経ち、館山市を含む南房総一帯は、令和元年の台風で大きな被害を受けました。台風の後、この遊歩道を訪れていないため、現在の状況はわかりません。


復旧が進んでいることを願っていますが、訪れる際は、館山市の『経済観光部観光みなと課観光施設係』などに最新の状況を問い合わせることをおすすめします。安全には十分注意し、危険な場所には近づかないようにしてください。

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