プロローグ2

もしかしたら僕は記憶喪失なのかもしれない。


 厳密にはもっと違う何かなのだが、いい言葉が浮かばなかったのでこんな表現をしたのだけど、、。

 何が言いたいかというと、この世界が今から始まったようなそんな感じがする…。

 確かに家族や友達との思い出は存在するし、すぐにでも思い出せる、けどそれは人格形成に必要最低限の記憶。

 もしかしたら本当に……


「舞冬?なんでそんな難しい顔してるのかな?」


そこで思考が一気にシャットアウトした、まるで思考が都合のいいように書き換えられたように……考えすぎか。

「世界の真理に気づきかけたような気がしたんだけどな…。」

「舞冬が世界の真理に気づけるのならとっくの昔に解明されてと思うわよ〜。」

「そんなもんなのかなぁ。」

「そんなもんよ。そんなことより、明日からお母さん達が海外出張でいなくなるじゃない??晩御飯とかどうしよっか……?私が作る?!」

「……姉さんの料理は食べれないほどじゃないんだけどなんか……ね。独特な味がするんだよね……。」

「ふふんっ。それを個性っていうのよ??」

 改めてこの料理下手…もとい個性的な感性の持ち主は、夢咲 小春。僕の姉でシスコンを自称してるやばい姉だ。

 だが、姉さんは何故か交友関係は広く、よくうちにも姉さんの友達?がよく遊びに来る。

 ……正直姉の友達も変わった人ばかりだし関わりたくないんだけど、姉さんのシスコン宣言は友達の間でも共通認識らしく、絡んでくるんだよね。

 そして僕、夢咲 舞冬は…自分で言うのもなんだけど中性的な顔をしてるらしく、よく女の子と間違えられたりする。

 ……女装したりもしたことあるけど誰にも男だと信じてもらえず散々な目にあったんだよね…。


 と、そこでナチュラルに会話が始まったがここは僕の部屋で、共用スペースではない。なんでしれっと部屋に入ってきてるんだろうか。

 というかドアの音したかな??

「姉さん、なんでしれっと僕の部屋に入って来てるのさ。来る時はせめてノックしてって何回も言ったよね?!」

「えー、愛しの弟くんの部屋に入るのに許可が必要なの?!だめよそんな…あんなことやこんなことを…」

「僕の部屋で何しようとしてるの!?」

「さあね〜♪じゃ、おやすみ〜」

 

 そそくさと部屋から出て行った姉を見送った後、僕はベッドに寝転がるとスマホを開いた。

「時計を持ったうざぎの目撃情報か、双互市での目撃情報だし、運が良かったら見つかるかね?」

 今度暇な時でも探してみてもいいかも?丁度母さん達がしばらく家を空けるんだしねっ!

「…寝るか」

 電気を消して布団に入る直前、白い何かが走っていたような気が……気のせいか。

 

 そして深い眠りについた。明日からまさか大事件に巻き込まれるなんて予想すらしてなかったのだった。

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