コインランドリー・コミュニケーション②
バイトからクタクタになって家に帰ると、洗濯機が壊れていた。
電源ボタンを連打しても電源コードを何度抜き差ししても、洗濯機はうんともすんとも言わず。ただ、そんな僕のことを嘲笑うかのように佇んでいた。
「嘘だろ……ついこの前まで問題なく動いてたじゃん」
そんな文句をこぼしたところで洗濯機が直るわけでもなく。僕は一週間分たっぷりと溜まった洗濯物の山を睨む。
悩んでいても仕方ないとは思うが、だとしても解決方法は何も思い付かないわけで。あいにく大学に入ってからの数ヶ月、引っ込み思案な性格が祟って友達一人できていない。それ故に誰かに助けを求めることもできない。
「あーもうどうしよ……」
そんなことを考えながらスマホに【洗濯機 壊れた どうしたらいい】なんて馬鹿な文字列を打ち込む。
うん。想像してた通り修理の広告が出てくるだけだ。全然使えない。
それでもバイトで疲れ切っていた僕は、無意味に検索結果を眺め続ける。その時、ふとその文字列が目に飛び込んで来た。
きっと、普段の出不精の僕なら、絶対に取らない選択だった。でも、その時の僕はまるで導かれるようにその記事をタップしていたんだ。
「……コインランドリー」
お金を払えば洗濯機ができるし、しかも追加料金で乾燥までしてくれるのだと言う。バイトを始めてすぐだから、そこまで貯金がないせいで洗濯機を買うことはできないけれど、これなら毎日使わなければある程度節約ができるかもしれない。
「この量を手洗いはキツいもんなぁ」
こんもりと溜まった洗濯物は心なしか異臭を放ってる気がする。気のせいだと信じたい。
「……明日は授業ないし、行ってみるか」
本当に、きっとあの日の僕は頭がおかしかったんだ。
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