第22話 (閑話)私と女神で下剋上を
「PVをもっと上げるためには、人気ラノベに掘り下げて研究したらどうだろう」と私は言った。
「たとえば、どんな作品じゃ」と女神。
「コミカライズや、アニメ化でも成功している作品が参考になりそうだ」と私。
「たとえば『●●●●の家庭教師』とか、『●●、辞めます』とかか?」と女神。
女神のラノベの研究はかなり本腰だったようだ。(第6話参照)
「『本好きの●●●』はどうだろう。緻密な設定と、ステップを踏んだ開発とか長編前提の作風は参考になりそうだ」と私は説明する。
「長編ならPVも稼げそうだな。異世界で『ラノベ』の出版をテーマにするか?」と女神。
「いや『ラノベ』より市場規模の大きいゲームにしよう。ゲームなら読者も共感しやすい。ゲーム作りを一から実行する話だ」
「なんじゃ、この世界じゃカードゲームか、ボードゲームになるが。いまいち読者の共感を得にくそうだ」と女神がダメ出しする。
「いや違う。携帯ゲーム機を作る話だ。『本好きの●●●』が、本の前の紙から作り始めたのに倣う」
「これは壮大な話じゃな」と女神は感嘆する。
「まずは携帯ゲーム機の肝である、CPUと液晶を手作りするところから始めるのだ」と私。
「自分の知識の範囲内で、作品を作ろうとしておらんか?」と女神。
「悪いが生産チートで手伝ってもらうぞ」と私。
「何を作るんじゃ」
「CPUを作るための、半導体ウェハが必要だ」
「あのキラキラした円盤か」と女神はうろ覚えの知識で言う。
「シリコンの純度99.999999999%(イレブンナイン)の多結晶シリコンを生産チートで作って、それを溶融して円柱状の単結晶インゴットに整形するんだ」と私。
「そのインゴットとやらをどうするんだ?」と女神。
「大根みたいに薄くスライスすると半導体ウェハになる」
「その上に、回路を焼き付けていくんだが……」と私は説明を続ける。
「そんな物からCPUを作るとなると2~3話では終わらんぞ」と女神。
「うーーん。章立ては、こんな感じになるかな。
第1部 半導体ウェハを作る
第2部 CPUを作る
第3部 液晶パネルを作る
第4部 ソフトウェア開発環境を作る
第5部 ゲームを作る
という所だ」と私。
「異世界ファンタジーの読者には、ぜんぜん興味が湧かん章立てじゃ」
「そうだろうか。CPU作りは楽しいぞ。どんな命令セットにするか? ビット長は? 8bitか16bitか? レジスタの数は? とワクワクするんだが」と私は力説する。
「それはお主だけじゃ。ほとんどの読者は第1部で脱落するわ。せいぜい花札を作る話ぐらいにするんじゃな」と女神が突き放す。
「なるほど! 第1部を『花札を作る』でスタート。その後、会社を大きくしてファミ●●とかスーパーファミ●●のゲーム機を売る。ついには異世界最大のゲーム機の製造会社に育てるのか。盛り上がりそうだな!」と私。
「そう解釈するか」と女神は溜息をついた。
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