聖女のついでに召喚されたのに、なぜか溺愛されています!
雪村藍良
プロローグ
――勘違い王子が、初恋に気づく未来の一幕。
彼女が入場した瞬間、シャンデリアに照らされたホールがより一層輝きを増したように見えた。
光を受けて煌めくその姿を一目見ただけで、レオンハルトはまるで時が止まったような感覚に陥った。
驚きと、ずっと勘違いしていた恥ずかしさ、混乱やとてつもない喜びが一気に押し寄せて、胸がくすぐったくなる。
王子として適当な人と結婚して、跡継ぎをつくり、ただ国を守っていく。
それだけの人生だと思っていたのに、こんなにも胸がうるさくなるなんて――考えたこともなかった。
(ずっと、俺は恋なんてしないと思っていたのに)
なんで気づかなかったんだろう。
出会った時からずっと、彼女だけが輝いていたのに。
ほかの男に笑顔を向けられるだけで、そわそわして落ち着かない自分が嫌になる。
レオンハルトはごくりと唾を飲み込み、勢いよくホールの中央へと駆け出した。
「次はっ――」
ドレスの裾をふわりと翻し、彼女が振り返る。
「……次は、私と踊ってくれませんか」
かっこよく決めることができない自分に心底がっかりしながら、ちらりと目をやると、少し見開いた丸い瞳と視線がぶつかった。
この手をとって微笑んでもらえただけで、さっきまでの負の感情がすべて溶けて、胸の奥があたたかくなる。
(ああ……俺はやっぱり彼女が好きだ)
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