004 : 世界連結装置
【今回のお題】
折れた塔/月曜日の手紙/音のない列車
【完成した作品の味わい】
異世界SFファンタジー
★ ★ ★
月曜日の朝。
通信局の使い魔フクロウが、速達の手紙を運んできた。
「世界連結装置が完成した。実証実験を行う」
その一文を読んだ瞬間、俺は荷物をまとめて旅立った。
魔導特急列車に乗る。
重力魔法を応用したこの列車は、走行音がない。
反重力によって車体を浮かせ、重力によって”前方へ落ちる”。この繰り返しで進む。
前に住んでいた世界でいう”リニアモーターカー”に近い。
ドラゴンが飛ぶよりも速く、揺れもなく、快適だ。
俺は十年前にこの世界にやってきた。
ごくありふれた高校生だったが、ハイキングの最中に山で迷ったところ、気が付けばこの世界にいた。
王都エルノアから、バルノ州の州都カザンへ。
そこからワイバーンタクシーを飛ばし、山間の町ミグノスへ向かう。
だが、到着した町は、見る影もなかった。
教会の塔は折れ、石造りの建物は崩れ、木造の家は跡形もない。
まるで、何かが一瞬で吹き飛ばしたような光景だった。
ミグノスには、世界連結装置の研修施設があった。
俺がこの世界に転移してきた現象に興味を持った魔導士が建てた施設だ。
ここでは、”ほかの世界の人を呼び寄せる”ための装置を開発していた。
人を呼び寄せることができれば、様々な知識を得られるかもしれない。
あるいは、この世界の人を別の世界に留学させることができるかもしれない。
そうなれば、俺も元の世界に戻ることができるかもしれない。
そんな”夢”の装置だ。
だが、――研究所は爆心地となっていた。実験は失敗。
おそらく、エネルギーの制御に失敗したのだろう。
施設の跡地に足を踏み入れる。
ただ瓦礫が散らばるばかり。俺と親しかった魔導士の姿は、見当たらない。
――と、誰かの影が見えた。
いや、影ではない。
”俺”だった。
一人、また一人。服装も、年齢も、表情も、すべて違う。
だが、どれもすべて間違いなく、”俺”自身だった。
俺は気がついた。
ここで行われていた実験は、俺がこの世界に転移してきた現象が元になっていた。
つまり、出来上がったのは「”俺”をこの世界に呼び寄せる」装置。
ここにいるのは、あらゆる世界から集められた”俺”だ。
「成功はしたんだな……」
瓦礫の中で、多数の”俺”たちは互いに見つめあい、困惑していた。
この先どうしたらいいのか……。
”俺”は”俺”の事を何と呼べばいいのか。
そんな、どうでもいいようなことを、俺たちは考えていた。
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