異常のはじまり。
#1 段階
俺、秋本俊、26歳。
職業、コンビニ店員。
最近まで、とある大手企業で働いていたが、そこそこブラックでメンタルがやられてしまい退職。
若干復活したため今は生活のつなぎとしてここで働いている。
今日もまた、午前3時のシフトに入っていた。
「ランウェイマート新都心店」、ここが俺の働いているコンビニだ。
店の蛍光灯はいつも通り過剰に明るい。
自動ドアが開くたびに鳴る間の抜けた電子音だけが、この世界の時間の経過を知らせてくれる。
深夜のコンビニバイトというのは、ルーティン作業の繰り返し。
品出しをして、レジを打ち、ホットスナックの在庫を確認して、またレジを打つ。
そしてセルフレジもあることから基本ワンオペで、来る客も大体決まっている。
終電を逃したサラリーマンに仮眠明けのトラック運転手、そして近所の「新都心エネルギー開発センター」で夜勤をしているらしい、いつも同じ作業服を着た数名の研究員たち。
「いらっしゃいませー」
この挨拶に返事はかえってこない。
コンビニに入ることはもはや日常でありそこに感情はない。
だからこそたまにある返事はうれしかったりもする。
「3点で930円です――。」
この時間に来店するお客様は本当に眠そうだ。
ただ、お金のはいっている財布をのぞき、
ただ袋にはいった買ったものをタイミングをみて持って行く。
「ん?」
突然カタカタとレジのある受付台の上に置いてあった印鑑が動いた気がした。
地震か?と身を構えたが、その後はなかった。
気づけば、目の前にいた数人のお客様もいなくなり、
煌々と光る照明には俺1人があたっていた。
カタカタ――――
また地震のような微かな揺れを感じた。
俺は窓の外を確認した。
「あれ、明るい。」
、
、
、
スローモーションだった。
次の瞬間、とてつもない明るさと窓ガラスの一面割れる音、
そしてあらがえない重力に自分が巻き込まれた。
視界がゆがみ、暗闇から伸びる手に引かれた。
すべては一瞬だった。
、
、
、
「今日未明、東京都内で爆発事故が発生しました。
現場は、都内にある『新都心エネルギー開発センター』です。
午前3時半ごろ、研究所の研究棟で大きな爆発があり、一時、火の手が上がりました。
警察と消防によりますと、当時、作業中だった従業員や近隣住民合わせて数名が負傷し、病院に搬送されました。幸いにも、死亡事故は免れたということです。
現在、警察は現場検証を進めており、実験に使用されていた高圧ガスボンベの破裂が事故の原因である可能性が高いとみています。詳しい経緯や安全管理体制に問題がなかったかなど、捜査を急いでいます。」
、
、
、
俺の人生はここで一変した。
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