第31話 フ○ーザ様ァァァァァ‼ クリスマスにイチャイチャしているバカップルをク○○ンを爆殺したようにやっちゃってください‼


 大会が始まり、カップルの大群は第一の障害物に突入した。


「第一関門。渡れ、愛の平均台‼ ここは平均台の上を歩いて渡ってもらいます! なお、落ちたらローションの池にドボンです! 落ちたら失格なので気を付けてください‼ あと、着替えの服とかそんなのは用意してないので」


「いや、そこんところちゃんと考えてください‼」


 弓彦は着替えに関してツッコミを入れた。その後、弓彦はいやらしい光沢を発しているローションを見て、嫌そうな声を上げた。


「ローションまみれになるの、俺嫌だよ……」


「何、落ちなければ問題ない」


 と、アルスはどや顔でこう言った。その後、アルスと弓彦は平均台の上に登った。


「うわわわ……これキツイな……」


 二人三脚で平均台を渡る。これは結構きついことだろう。作者は経験したことないから分からないけど。つーか、経験することはないだろう。アルスと弓彦は苦戦しつつも前に行こうとしたが、前のカップルがもたついて動いてなかった。


「前の人も苦戦してるようだな」


「どうする? 先へ進まなければ優勝できないぞ」


「俺は別に優勝目指してないけど」


「私は何が何でも勝ちたい」


 その時、後ろから悲鳴が聞こえた。どうやら後ろのカップルが前にいるカップルをローション池に突き落としながら、先に進んでいるのだ。何でもありな状況になったと察した弓彦は、急いで日枝の方を見た。


「日枝先輩‼ あれってあり何ですか?」


「はい。他のバカップルを落としてはダメというルールはないので」


 この言葉を聞いた他のカップルも、同じように別の組を落とし始めた。そのせいで、平均台は阿鼻叫喚の地獄と化した。


「よし。他のカップルが落ちて行ってる。先へ進もう」


「そんなんでいいのかな……」


 道が空いたので、アルスと弓彦は先へ進んでいった。その時、後ろから追い上げてくるカップルがアルスの腕を掴んだ。


「落ちろッ‼」


 アルスの腕を引っ張ってバランスを崩そうとしたが、その前にアルスが腕を払い、そのカップルはバランスを崩してローションの池に落ちて行った。


「残念だったな。もう少し強くなってから挑むんだな」


 落ちていくカップルを見ながら、アルスはこう言った。




 アルスと弓彦は平均台を抜け、次の障害へ向かった。


「これが第二関門か……」


 アルスと弓彦の目の前には、網が置いてあった。先へ行ったカップルは、その中を潜って移動している。


「何だ、網の下をくぐるだけか。簡単そうだな」


「さっきのより楽すぎる。何かあるかもしれない」


 そんな話をし、二人は網をくぐり始めた。しばらく進むと、他のカップルの悲鳴が聞こえた。


「うわー‼ なんかねちょねちょする‼」


「動けなーい!」


 それから、他のカップルも謎の粘着により、身動きが封じられてしまった。


「あーらら、第二関門のねちょねちょ罠に気を付けろ‼ 潜り抜け、ほいほい網の罠にかかってしまいましたね。忘れていましたが、網の一部分には粘着の床があります。それに引っかかったら失格になります」


 日枝が笑いながらこう言った。


「大切なことは最初に言ってください‼」


 下種な笑みを浮かべている日枝に向かって、弓彦は苦しそうにツッコミをした。


「ツッコミを入れてる暇はないぞ弓彦。注意しながら先へ進むぞ」


 その後、アルスと弓彦は苦戦しながら先へ進み、時間はかかったが網をくぐることができた。


「何とか抜けれたが、時間がかかってしまった……」


「結構出遅れたな」


「急ごう!」


 アルスは弓彦を連れ、先へ進んだ。




 続く第三関門でも、大勢のカップルが脱落していた。彼らの目の前にあるのは、大きな壁だった。本当に壁があるのである。その壁には至る所に登れそうな部分があり、それを使って登って行けと言う事である。


「第三関門の愛の障害なんて登ってしまえ‼ 愛の壁乗り越え大作戦で大量のカップルが壁から落ちてますねー。マジ受ける。簡単に言えばこの壁を乗り越えて先に進むんですが、落ちたら失格なので注意してくださーい」


 日枝が簡単に説明を行った。アルスと弓彦も、この関門の前にたどり着いた。


「めんどくさいな……」


「ここであーだこーだ言ってもしかたない。行くぞ」


 その後、二人は壁を登り始めた。その時の二人は知らなかった。この壁の裏にあいつがいることを。


「アルスの野郎……ここから落として私が弓彦君とペアになってやるわ……」


 世界が壁の裏に潜んでいたのだ。そんなことを知らない二人は、ゆっくりと壁を上っている。世界が近付いているのを知らず。


「そろそろね……」


 世界は裏から手を出し、アルスを突き落とそうとした。だが、二人は別の所に行ってしまった。


「いや、そっちじゃない。こっちこっち」


 世界も二人の動きに合わせ、移動を始めた。そして、再びアルスを突き落とそうとした。


「今度こそ!」


 その時だった。


「あ、こっちの方が移動しやすいかも」


「じゃあ行くか」


 二人は急展開し、別の方向に向かってしまった。


「あれ、そっち行くの?」


 世界は急いで後を追おうとしたが、手を滑らせてしまった。


「あ……やべ……」


 何とか態勢を整えようとしたが、時はすでに遅かった。世界はそのまま落ちてしまったのだ。


「いやァァァァァァァァァァ‼ 弓彦くゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥん‼」


 世界の悲鳴は、壁を上っているアルスと弓彦の耳に届いた。


「今世界の声が聞こえたなかったか?」


「気のせいだろ」




 二人は壁を乗り越え、最後の関門へ向かっていた。


「さぁ最後は愛の力があればジャングルなんて目じゃないぜ、ジャングル突破大作戦‼ 迷路のようなジャングルを二人の知恵と度胸を合わせて突破してください‼ あと、道中の罠に引っかかったら失格です」


 日枝の話を聞く限り、最後の関門は迷路のようだった。


「迷路か、私は得意だ。ダンジョン探索で慣れているからな」


「じゃあどうやって行くかはお前に任せるよ」


「ふふん。任しておけ!」


 その後、アルスはダンジョンでの探索の経験を頼りに、迷路を歩いていた。だが、迷路の裏では、ムーンが弓彦を消すために動いていた。


「お姉様とあんなに密着して……私でもあんなに密着したことないのに! 羨ましい! 妬ましい‼」


 ムーンは自然魔法を使い、弓彦の足元に落とし穴を作ろうとした。だが。


「こっちだ‼」


 アルスが急展開し、落とし穴は回避されてしまった。代わりに別のカップルがその穴に落ちた。


「あーもう失敗した!」


 ムーンはアルスと弓彦の後を追い、再び弓彦の足元に落とし穴を作った。しかし、さっきと同じようにアルスの急展開で弓彦は落とし穴を回避し、代わりに別のカップルが穴に落ちた。


「あーん‼ まただ‼ これじゃあお姉様とあの男がゴールしちゃう!」


 と、ムーンは泣きながら叫んだ。その後、彼女はやけになり、迷路の至る所に落とし穴を作った。そのせいで、他のカップルが地面へ落ちて行った。


「あんなとこに落とし穴を作った覚えはありませんが、まぁいいでしょう。バカップルが落ちていく光景は何とまぁ面白いこと面白いこと‼ アッヒャッヒャ‼」


 日枝はこの様子を面白そうに実況していた。落とし穴を作りすぎたせいで、ムーンは疲れ果てていた。


「こ……こりゃダメです……」


 その時、ムーンの脳内のアルスの声が聞こえた。


「ムーン。裏で工作しても無駄だぞ。お前の気配は迷路に入った直後に察したぞ」


「そ……そんなぁ」


 ムーンは力を落とし、その場に座り込んだ。




 ゴール前。日枝はある情報を聞き、マイクでその情報を伝えた。


「今迷路を抜けた選手がいると情報が入りました。誰だ? 誰だ……おーっとぉ‼ 人影が見えてきたぁ‼」


 迷路を抜けた所から、人影が現れた。


「アルス選手と弓彦選手です‼ 幾多の障害を越え、我々の前に姿を現したのはこの二人です‼ その後を追うように他の選手も出てきていますが、疲れ果ててその場で倒れました‼ それを気にせずアルス選手は疲れ果てた弓彦選手を引きずって……ゴール! 優勝はアルス選手と弓彦選手!」


 アルスはゴールをした時、大きく万歳をしていた。その横にいた弓彦は足の手ぬぐいをほどいた後、気を失った。てなわけで、イベントは無事終わった。




 その日の夜。アルスは手にしたトロフィーを手に笑顔を作っていた。


「いやー。やっぱ勝つと気分がいいな」


「俺はよくねーよ」


 弓彦は筋肉痛となった腕で、何とか立ち上がった。


「イッテェェェェェ!」


「筋肉痛で体を痛めるなんて、動いてない証拠ですよー」


 と、ふてくされたムーンがこう言った。


「なぁ弓彦、クリスマスってこれで終わりか?」


 立ち上がった弓彦を見て、アルスがこう聞いてきた。


「いや。後はプレゼントだな。クリスマスにはプレゼントを渡すことが多いんだよ」


「プレゼントか……」


 その話を聞き、アルスは少し考え始めた。

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