第21話 ガールズトークナイト


 風呂から出た後、女子たちは御代の部屋にいた。女子たちは御代の部屋で寝ることになっているのだ。ちなみに弓彦はリビングで寝ている。


「さぁ、何して遊ぶ?」


 御代は部屋の中にあるすごろくや遊〇王カード、スマ○ラなどを取り出して皆の前に置いた。アルスはスマ〇ラを見て、声を出した。


「いいですね。特にこれなんか、マ○オやカー○ィ、クラ○ド、ス〇ーク。挙句の果てには著作権的に難しいのに某夢の国が絡んでるあのキャラが出てきてしばきあいしますからね」


 と、アルスがスマ○ラを手にしてこう言った。


「あら、やったことあるの?」


「はい。たまに弓彦と一緒にやりますよ」


「ほう。じゃあ今日はスマ○ラをやるわよ!」


「あの、著作権的に大丈夫なんですかこれ?」


 三毛が不安そうにこう言った。その言葉を聞き、御代はうーんとうなりながら返事した。


「しょうがないわね。任○堂、そして夢の国からあれこれ言われたらこの作者、うんともすんとも言えないし動けないから、止めておくわ」


「あの、それ以上言わない方がいいと思います」


「じゃあ皆でお話しましょ、その方が著作権的にも表現的にも大丈夫でしょ!」


「まぁ、それでいいと思います」


 というわけで、夜の話し合いを始めた。




「ねぇ、アルスがいた世界ってどんな人がいたの?」


 御代はアルスにクリスルファーについて、聞いてきた。アルスはクリスルファーのことを思い出し、答えた。


「そうだな……まず戦士のライアスがいたな」


「どういう人だったの?」


「すごい奴だったぞ。魔物の大群に対し、大剣だけで突っ込んだ奴だ。他の装備はふんどし一丁だったが」


「変態じゃないの!」


 話を聞いていた日枝が、悲鳴とともにこう言った。


「だがな、あいつの剣の腕はすごかったぞ。一振りで敵の大群をなぎ倒していた。ちなみに、普段もふんどし姿だったなー」


「確定だ。その人変態だ」


「さすがに寒冷地での戦いは上着を着てきていたが」


「あー、やっぱ寒さに弱かったのね」


「だがズボンははいてなかった。ふんどしだった」


「やっぱ変態だ!」


 アルスの話を聞いていた御代は、少し冷や汗をかいていた。


「なんかファンタジー世界みたいなものだと思ったけど……個性的な人もいるようね」


「会長が思ってるのは、白馬に乗った金髪の王子様のことですか?」


 御代は三毛に言われ、ギクッとなった。そりゃそうだ。御代はファンタジー世界と言ったら、白馬に乗った金髪の王子、あるいはイケメンの騎士や剣士が出てくるもんだと思っていたからだ。


「いましたよ。そう言う人」


 アルスの言葉を聞き、御代の目がマジになった。


「やっぱりイケメン? 金持ち? ナイススタイル?」


「確かにそうでしたが……奴は重度のロリコンでした」


「最悪だァァァァァァァァァァ‼」


 この一言で、御代の夢は無残に砕け散った。


「最悪だ……イケメン、金持ち、ナイススタイルの三拍子がそろった王子様でも……ロリコンじゃあ……」


「いえ、会長ならコドモスキーに好かれると思いますよ」


「誰よ、その危ない名前の奴⁉」


「私が言った男の名前です」


「最悪な名前じゃないの!」


 名前を聞いた御代は、大声でこう叫んだ。


「個性的な人がいますね」


「個性的過ぎて、変態の領域に入ってるけど」


 話を聞いていた日枝は三毛とこんな会話をしていた。その後、日枝はアルスにこう聞いた。


「魔法使いとか賢者と呼ばれる人はいましたか?」


「賢者がいたな。名前はムーン・ローレリア。私の一つ下の妹分だ」


「妹ですか……」


「実の妹じゃないぞ。苗字が違うし。ムーンが私を姉のように慕ってくれてるだけで、血の繋がりはないけどな。でも、他の連中と比べると、真面目な奴だったな」


「あー、まともな子もいるんだ。よかった……」


「確かにそうだな。ライアスは変質者と思われて捕まり、コドモスキーは幼女の入浴を盗撮して捕まった」


「二人とも捕まってんのかよ‼」


「見た目は変だが、悪い奴じゃあなかった。釈放されてるといいが……」


「で、ムーンちゃんはどうなってるの?」


 アルスはしばらく考えた後、日枝にこう答えた。


「魔王と戦う前に別行動をしてたから、それからは分からないな。ムーンもそれなりに魔力が強いし、魔王にやられたと思いたくないが……」


 アルスの顔を見て、日枝はちょっと焦った。ムーンがやられたと思い、アルスはしょんぼりしてしまったからだ。


「話を変えましょ」


 ここで御代が助け船を出した。この言葉を聞き、日枝はホッとした。


「ねぇ、アルス。弓彦のことどう思ってるの?」


「あ、私も気になる」


 御代と三毛がこう言った。


「弓彦ですか……悪くない男だと思います」


「そうじゃなくて、好きかどうかってこと」


「コイバナよ」


 弓彦に対し、好きかどうか言われ、アルスは顔を赤くし混乱した。


「いえその……私、コイバナとかあまり難しいのは分からなくて……」


「簡単よ、好きか嫌いかで答えればいいのよ!」


 御代はアルスの顔に近付き、答えるよう促した。アルスは戸惑いながら、この問いに対してこう答えた。


「き……嫌いでは……ない」


「ほーん。じゃあ好きってことなのね?」


「いやいや……恋愛の感情は……どういうことだかまだ分からない。ずっと戦ってきたからそういうのには疎いんだ」


 アルスの言葉を聞き、御代は少し下がった。


「ごめんね。調子に乗ってたわ」


「会長が気にすることはないです」


「とにかく、戦いのことは忘れて今を楽しもうよ」


 と、三毛がアルスにこう言った。


「そうだな。羽を伸ばすのも、いいことだからな」


 アルスは笑顔でこう言った後、御代にこう聞いた。


「会長は気になる人はいるんですか?」


「私に聞く?」


「会長……もし好きな奴がいたら……私が消してきますので」


 と、日枝が死んだ目でこう言った。


「いないわよ。だから安心して日枝」


「かいちょおォォォォォォォォォォ‼」


 日枝は泣き顔で御代に抱き着いた。この光景を見て、アルスと三毛は同時にため息を吐いていた。




 その頃、リビングで寝ている弓彦は、寒さのあまり目が覚めた。


「寒い……エアコン付けてもいいのかな……」


 一度御代の所へ行き、エアコンを付けてもらおうと思った弓彦は、廊下に出た。


 御代の家の廊下は広い。ぶっちゃけ言うと、へたすりゃ迷子になるほどの広さだ。昼は明るいからよかったのものの、今は夜。明かりは付いていない。その上、どこに廊下の電気が付くボタンがあるのか、弓彦は知らない。


「携帯に出るかな」


 と、携帯を取ろうとしたが、弓彦は携帯をリビングに忘れてしまった。


「そうだな。最初から携帯で連絡すればよかった」


 そう言い、部屋に戻ろうとしたのだが、しばらく廊下を歩いていたため、どこに何があるかさっぱり分からないのだ。


 まずい。迷った。


 弓彦は、迷子になってしまった。


 パニックになった弓彦はあちらこちらの扉を開け、リビングを探し始めた。だが、どれもリビングの扉ではなかった。


 嘘だろ、それじゃあ朝までここで過ごすのか。


 そう思った弓彦は、少し絶望した。


 翌朝。アルスは廊下の中央でガタガタ震えている弓彦を見つけた。


「何やってんだお前?」


「トイレに行こうとして迷ったんじゃないの? 私の家の廊下、広くて迷子になるから」


 と、御代は笑いながらこう言った。




 クリスルファーにて。一人の少女が魔法陣を描いていた。


「確か、魔王の所に描かれていた魔法陣はこうだった」


 魔法陣を書き終え、少女は魔力を練り、魔法陣に手を置いた。


「これでいいはず。こうすれば、アルスお姉様がいる世界に行ける!」


 少女が叫んだ直後、魔法陣は光出し、空間に渦が発生した。


「待っててくださいアルスお姉様! 今、ムーンが行きま!」


 少女、ムーンは渦の中に飛び込み、アルスがいる日本へ旅立った。

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